シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

ドリュー・バリモアと6次の隔たり ②

johnfante2007-01-15

デート・ウィズ・ドリュー [DVD]

デート・ウィズ・ドリュー [DVD]


ドキュメンタリー映画
日本公開2006年12月16日(公開中)
監督・製作・出演/ブライアン・ハーツリンガー
配給 エレファント・ピクチャー


(右はE.T.とキスする82年のドリュー・バリモア)


6次の隔たり」という隔たり


12日目。
ブライアンは撮影クルーで友人のジョンを通じてケリーを知り、ケリーはアリソンの知り合いで、アリソンはデイナと付き合っており、デイナがなんと「チャーリーズ・エンジェル」の脚本家のジョン・オーガストの知り合いだった。
そして、ブライアンはジョン・オーガストと会うことに成功。
無論、ジョン・オーガストドリュー・バリモアの知り合いである。
彼はドリューに引き合わせることはできないが、近日中に「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」のプレミア試写会のパーティがあることを教えてくれる。
これは本人に会える最大のチャンスである。


メールと電話で、ドリューの会社であるフラワー・フィルムズに接触をとるが、制作した映画CMの返事はかえってこない。
ドリューの周囲の人間が、彼女に勧めれば見てくれるのだろうが、6次の隔たりがあるために、そこまで手は届かないのである。


20日目。
ブライアンは俳優のアンディ・ディックを通じて、映画俳優のコリー・フェルドマンに到達する。「スタンド・バイ・ミー」「グーニーズ」などの映画で有名になった俳優で、以前ドリュー・バリモアと付き合っていたことがある。
コリーはブライアンが少々変人に見えるので、ルックスだけでも変えた方がいいと助言する。
ブライアンは友人のケリーを通じて、バブルに連絡をとり、フェイシャリストのソニヤのエステに行く。ソニヤはドリュー・バリモアがいつもいくフェイシャル・エステなのである。


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プレミア試写会に潜入


25日目。
映画「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」のプレミア試写会の日である。
アフター・パーティに入れれば、ドリュー・バリモアに直接会うことができる。
どうやってセレブの集まるハリウッドの試写会のパーティに入り込むのか。
ブライアンは、友人のグラフィック・アーティストに頼み、偽物のプレスカードを作ってもらう。


会場の前の赤い絨毯。
次々と入ってくる映画関係者。
ドリュー・バリモアは共演者のルーシー・リューらと共になかへ入っていく。
多くの群集のなかで、彼女のことを見つめるブライアン。
試写会場の向かいのレストランで仲間と打ち合わせをする。
映画が終わり次第、アフター・パーティの会場に忍び込むのである。


2人の女友達と共にガードの前を通り抜け、会場に吸い込まれていくブライアン。
撮影クルーのフレッドとジョンは向かいのハンバーガー屋で待機し、中のブライアンと携帯電話で連絡をとる。
外に出てきたブライアンは報告をする。
女友達のヘルプを借りて、ドリュー・バリモアに紹介され、握手をし、「Nice to meet you, too」と言葉を交わすことに成功した。



奇跡は起こった


27日目。あと3日。
フラワー・フィルムズからの返事はない。
ブライアンは「マイ・デート・ウィズ・ドリュー」というウェッブサイトを、友人の力を借りて立ち上げる。
同時に地元のラジオに電話出演し、映画の趣旨を説明、ウェッブサイトのアドレスを宣伝する。
しかし、サイトのサーバーがダウンし、結局コンタクトは得られず、ビデオカメラを返却する日が迫る。
30日目。ついにその日は来た。
ブライアンたちはビデオカメラを返却。
ショッピングモールの前で、複雑な表情のまま記念写真をとる三人の仲間…。


数日後、ブライアンは退屈な仕事をはじめた。
しかし、信じられないことが起こった。
サーバーが回復し、ウェッブサイトが復活し、人々がアクセスし、全世界から励ましのメールが届く。
ネット上で「6次の隔たり」が役に立ち始めたのだ。
そして、雑誌、ラジオ、テレビのインタビューの申し込みが殺到し、それに答えるブライアンだった。
資金は500ドル残っている。映画が再開された。



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幸福な結末


87日目。
フラワー・フィイルムズのナンシーから電話があり、ニューヨークのホテルにいるドリュー・バリモアに映画CMを録画したDVDを送ってほしいとのメッセージ。
ナンシーはドリュー・バリモアのビジネス・パートナーである。
これが決め手だった。
その話によれば、ドリュー・バリモアが一週間前にはじめて「デート・ウィズ・ドリュー」についての話を耳にし、今夜ウェッブサイトをチェックし、そのDVDを見る手はずになっているという。
ブライアンは喜んだ。


デート当日。
ニューヨークに渡航するブライアン。
待ち合わせの場所は、ガーデンのなかに設けられたレストランのテーブル席。
プレゼントを持って現われるドリュー・バリモア
ハグする2人。
ブライアンはこれまでの経緯を説明する。
乾杯し、会話は盛り上がる。
プレゼントを同時にあける2人。
ドリューへのプレゼントはスヌーピーのかき氷機。
ブライアンへのプレゼントはビデオカメラだった…。
これで「六つの隔たり」は次のようになった。
「私はドリューを知っている」だから、距離度は1ということだ。


《参考》
Wikipedia」より
六次の隔たり(Six Degrees of Separations)
人は自分の知り合いを6人以上介在すると世界中の人々と間接的な知り合いになれる、という仮説。
別名スモール・ワールド現象。
mixiなどのSNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)に代表される幾つかのサービスはこの仮説が下地になっている。


※似たような仮説・実験例
イェール大学心理学者スタンレー・ミルグラム教授は、1967年に次のような実験を行った。
ネブラスカ州オマハの住人160人を無作為に選び、「同封した写真の人物はボストン在住の株式仲買人です。
この顔と名前の人物をご存知でしたらその人の元へこの手紙をお送り下さい。
この人を知らない場合は貴方の住所氏名を書き加えた上で、貴方の友人の中で知っていそうな人にこの手紙を送って下さい」という文面の手紙をそれぞれに送った。
その結果42通(26.25%)が実際に届き、届くまでに経た人数は平均5.83人であった。
コロンビア大学の教授が電子メールで同様の実験を行った際は、到達率2%、仲介人数は5〜7人であった。
日本のバラエティ番組で、「与那国島の日本最西端の地で最初に出会った人に友人を紹介してもらい、何人目で明石家さんまに辿り着くか」という企画が行われたことがあり、結果は7人であった