シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

短編上映@東京ドキュメンタリー映画祭2021

12/17(金)17:20〜「東京ドキュメンタリー映画祭2021」で、拙作の短編映画『憑依の宴 ジャワ島のジャティラン』が上映されます。特集上映「憑依する精霊たち」プログラムのなかの1本です。

詳細  https://tdff-neoneo.com/lineup/lineup-2206/#movie04

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ジャワ島の東部には、ジャティランと呼ばれる馬踊りの憑依芸能がある。村の結婚式や割礼式など特別なときに開催され、農家や労働者など貧しい若者が踊り手をつとめる。
ガムランやゴングから成る楽隊の演奏にあわせて踊るうちにトランスし、青年たちは祖霊や森の動物霊に憑依される。パワンと呼ばれるシャーマンたちが、憑依された少年たちをひとりひとり悪魔祓いする。
一説には、60年代のスハルト独裁による圧制下で、民衆がストレスを発散するために広まった芸能といわれる。

2021年/22分/インドネシア・日本/カラー

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監督のことば

はじめて現地調査したときは驚きました。華美な衣装で、隊列を組み、踊っていた若者たちが、眼の前で一斉に失神してトランス状態に。精霊に憑かれて、ある者は見事に舞い、ある者はシャーマンに鞭打たれても平気な様子。犬やカエルの霊に憑依されて飛び跳ねる者がいれば、豚の霊のせいでスイカをバカ食いする者もいる。それを見てゲラゲラと大笑いする見物人たち。所属する芸術人類学研究所で、この魅力的な憑依芸能を研究することに決め、最初にできた成果物がこの映像作品です。