『辺境のフォークロア ポスト・コロニアル時代の自然の思考』

johnfante2015-01-20


はじめての単著『辺境のフォークロア ポスト・コロニアル時代の自然の思考』金子遊著(河出書房新社)が、1/20に発売となりました。
全国の書店、ネット書店、下記の河出書房のサイトなどで購入することができます。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309226194/


カバー図版はヴィルヘルム・ハイネ画「ボニン島のカナカ人村」(1855年)です。坂田政則さんによる装幀が美しいとの評判を頂いております。



帯文オモテ「一国民俗学の彼方へ」「サハリンから南洋へ。太平洋の島弧の文化的な連続性をとらえるために、異なる言語や文化が接触する辺境へまで広がる、「ポスト民俗学」時代のエスノグラフィー。」


帯文ウラ「琉球奄美考 樺太蝦夷・東北考 ボニン=小笠原考 マリアナ・南洋考」「失われた伝統社会にこだわって科学的な収集と分析に耽溺するよりは、旅人であり詩人であった柳田國男のように、わたしはむしろその土地の人びとが奏でる言語の音楽、光や風からなる固有の風土、歌や口承文学や美術に封じこめられた集合的な記憶のほうへと五官を研ぎすませてみたい。(はじめに)」



<目次>


第1章 琉球奄美
 アレクサンドル・ソクーロフ奄美群島
 ニコライ・ネフスキー宮古島
 天皇裕仁折口信夫の「若水の話」
 ソクーロフによる島尾ミホ


第2章 樺太蝦夷・東北考
 サハリン半島の年代記(クロニクル)
 チェーホフサハリン島
 シュテルンベルクとニヴフ
 ネフスキーアイヌフォークロア
 ネフスキーと東北のオシラ
 オロッコウィルタ族の悲劇


第3章 ボニン=小笠原考
 小笠原 ジャック・ロンドン瀬川清子
 小笠原 北原白秋のカナカ人


第4章 マリアナ・南洋考
 マリアナ群島 鈴木経勲の南進論
 松岡静雄 ミクロネシア民族誌
 サテワヌ島 土方久功とカナカ族


近年、アーティストや現地人など「人類学者」として名乗らないが、すぐれた民族誌を残した人たちの作品や業績に注目が集まっています。
本書『辺境のフォークロア』もそのような流れのなかで、文学評論と芸術批評(映像を含む)、フォークロア研究を交差しながら、北と南の辺境(列島の周縁)から新しい「ポスト民俗学」の領野を切り拓いていきます。