
B級ホラー映画「Deadly Run(死への逃避行)」(1995・米)を巡る、嘘のような本当の話。
映画「Deadly Run」はVHSやDVDも出ている一般映画です。
B級ホラー映画
アトランタに事務所を構える弁護士のサミュエル・ラエル(Samuel Rael)には、一つの野心があった。
いつか金と時間できたら、インディペンデントでいいから、自分の思うような低予算映画を作ろうと思っていたのだ。
そして、1995年にそのチャンスがやってきた。金を自分で集めたラエルは、自分がプロデューサーとなった。
そして以前からあたためていた企画「Deadly Run」(死への逃避行)を製作することにした。
それはB級のホラー映画で、内容もプロットもだいたい決まっていた。
お金がないので、舞台は地元のジョージア州。何人もの女性をつけねらい、次々と殺害を重ねる連続殺人鬼の男についての映画だ。
ラエルは仕事上、犯罪者の弁護をすることが多かったので、彼らの心理や手口について自分は詳しいのだと自負していた。
そして、ヒットの予感と金銭的な成功を夢見て、恍惚となった。
映画製作
しかし、ラエルにはプロデューサーとしての資質が欠けていた。
一応、映画製作するだけの資金を集めては見たものの、スタッフや役者に払うギャラが出そうにない。
だから、なるべく友だちや知り合いを集めて、必要最低限のプロを使って撮るしかない。また、スタッフや役者をどこから集めていいかも分からなかった。
それに、彼には大まかな映画の構想はあったものの、シナリオの詳細を考えたり、設定のアイデアを思いつく力がなかった。だから、これは友人に頼った。
その友人はラエルに弁護の依頼を頼んできた最初の客で、10年来の友人だった。
彼は不法侵入や詐欺など小さな事件を起こしては、その度にラエルに頼ってくるダメ男だった。「何か犯罪についてヒントをくれるかもしれない」とラエルは考えた。
こうしてラエルの「Deadly Run」の製作ははじまり、95年の年内に何とか完成にこぎつけて、B級ホラーとしてビデオリリースした。
しかし、映画の内容はあまりに凡庸で、何の話題にもならなかった。
また、借金を払うのが精一杯で、ほとんどのスタッフにギャラを支払うこともできなかった。こうして、ラエルの分不相応な夢は潰えたかに見えた…。
![Deadly Run [VHS] Deadly Run [VHS]](https://m.media-amazon.com/images/I/41UkzqrexDL._SL500_.jpg)