シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

猫目映画 片岡翔

johnfante2010-03-10

「猫目映画」というユニットで映画制作活動をしている片岡翔が気になっている。
それというのもVIPOが主催した「京都映像映画企画市」で、彼の短編映画を見てすっかりファンになったからである。
若手の才能と出会ったときは、あたかも自分が発掘したかのような嬉しい気分になる。
しかし、彼の作品はすでに国内外の映画祭で高い評価を得ているようである。



『象煮』全編


『象煮』は「京都若手才能育成ラボ」という企画で、2008年に製作された短編作品である。
WEB上で全編見られる。京都松竹撮影所のオープンセットを使って撮っている。
江戸時代、病弱な妻を抱えた中高年の夫婦がいる。
そこへ、伝説の動物「象」が江戸へやってくることになり、それを見たことのない夫婦があれこれと噂をしている。
なんでも神と崇められる象の肉は、万病にきくというのだが…。


夫婦のやりとりだけで進行する「落語映画」である。江戸に象が来るというのは史実に基づいているらしい。
ふたりのとぼけた会話がおかしい上に、話はどんどんエスカレートしていき、笑いが止まらない。
短編映画は、若手が習作として撮るもののような偏見があるが、これを見ると短編ならではの芸があって、短編ばかり見たくなってしまった。
このシナリオはちょっとやそっとの努力では書けない、天性のものを感じさせる。



『くらげくん』予告編


コチラはちょっと変な格好をしている少年「くらげくん」と、その友だちの二人で進むストーリー。
アメリカのX世代の映画を、これだけ体内化している作家がいるとは驚いた。
この人の長篇1作目がいつ制作されるのか、首を長くして待ちたいものだ。


猫目映画HP
http://www.nekome.tv/news.html