10/7(土)に、アテネフランセ文化センターの「アジア映画の森」特集でトークに出ました。
トモ・スズキ・ジャパンのご協力を得まして、『アピチャッポン短編集』を上映。
これはアピチャッポン・ウィーラセタクンご本人がプログラムして下さったもの。
それから全州映画祭で制作された『ワールドリー・デザイアーズ』と、珍しい作品が上映できました。
2回の上映とも、アテネフランセが満員の盛況ぶりでした。
『ワールドリー・デザイアーズ』の上映後に、編集の夏目深雪さん、諏訪敦彦監督と当方でトーク。
当方は、アピチャッポンの初期から現在にいたるまでの実験映像とビデオアートを紹介しつつ、
そこにこめられているインスタレーション観、環境とアンビエンスの提示について話しました。
諏訪監督のお話しは1つ1つがすばらしく、ショットや森をめぐる問題は非常にスリリングでした。
トークイベントの模様は、東京フィルメックスのページに簡潔にまとめられています。
http://filmex.net/news/2012/10/post-241.html
夏目さんと諏訪監督。
下記はツイッターからの声の引用です。
○一昨日はアテネ・フランセでアピチャッポンの短編集。初期は実験映像だったという嬉しい事実。「ASHES」は機械の限界を逆手に取った快作! アピチャッポンは映画論だけ、美術論だけ、実験映像論だけ、だと絶対捉えられないと思う
○アジア映画の森-アピチャッポンの森から映画の未来へ-。諏訪敦彦さんの「連歌」に例えたアピチャッポン映画やリバース・ショットのお話。金子遊さんのアピチャッポンの映画の"観る人のクリエーティビティ"、"引きの森のアンビエント感"のお話など、上映後のトークも楽しかったです☆
○『ワールドリー・デザイアーズ』で、真っ暗な森の中で歌い踊る歌手をスポットライトで照らし出すという演出はまことにアピチャッポンらしいものでしたね。光を光として見せるというところが。
○『ワールドリー・デザイアーズ』を観ている間は「?」の連続だったはずなのに、その後のトークでちゃっかりとアピチャッポンの世界に触れた気になっている。ただ、あわせて上映された諏訪敦彦監督の短編『黒髪』の方が衝撃というか、怖かった。人間にとって根源的な恐怖が描かれていると感じた。
○『ワールドリー・デザイアーズ』@アテネ・フランセ。PVや映画のカメラアイ、それを撮影するクルーたち、そして彼らを背後で見守る森林=アピチャッポン。幾重にも折り重なる眼差しの中で、より大きな何かに包み込まれていくような安堵感を覚える。用を足し終えた男は、夜の森に何を見たのだろう。
○アテネ・フランセで結局アピチャッポンの短編と長編&トークまで完食。腹は減っているが満足。短編の内二本と長編は一度見ているが初見だと「何が映っているのか」に振り回され余裕なく終わることが多い。今回はより楽しめた。映ってはいないが「自ずと然(あ)る」ものが少しは感知できたのか
○上映後のトークもとても良かった。「映画という形式はどうやっても物語から逃げられないことに気づいた」という諏訪敦彦さんの言葉を胸に刻んだ。一方で「アピチャッポンが処女作から最新まで実験的な映像を作り続けていることを忘れてはいけない」というで金子遊さんの言葉も大切に胸に刻んでおいた。
○特集アジア映画の森「アピチャッポンの森から映画の未来へ」@アテネフランセ。経験済みのインスタレーションから初見の初期作品まで、作家の眼差しを辿る貴重な体験でした。個人的には、フィルム遊び故ながらだとは思うけれど、長編映画とはまた違うリズム感を初期作品に感じることができました。
○アテネフランセという秘境に潜入。そこは正に森だった。アピチャッポンの作品は映像の放置プレイだが、2時間に及ぶトークショーによって緊縛から放たれた感がある。アピチャッポンがウォーホールの実験映画に触発された話題が興味深い。フィルメックスで上映される『メコンホテル』が観たくなった。
○特集上映「アジア映画の森」@アテネフランセ、5日目終了。金子遊さん、諏訪敦彦さん、夏目深雪さんのトーク。金子さんによる実験映画をめぐる制度化の問題提起、途中ほぼ独壇場と化した諏訪さんのアピチャッポン映画フレーム論。2時間超、どこをとっても長文論考として発表できる濃い議論だった。