シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

2009-01-01から1年間の記事一覧

映画芸術評論賞

今年最後のエントリーをどうしようかと考えていたら、「第1回映画芸術評論賞」の佳作を受賞したとの朗報が入りました。 http://eigageijutsu.com/article/136847298.html 1月30日発売の「映画芸術 2010冬号」に掲載予定です。 色々なことがありましたが、最…

中国奥地のローマ人村 ②

ローマ人の末裔が住むという中国奥地の村についてです。 村の伝承 しかし、村の言い伝えでは、145人のローマ人が捕虜にされて、長い間その地域を歩きまわったと言われている。 ダブズ教授の推論は、彼らローマの捕虜が東方に傭兵部隊として進んだという。 そ…

中国奥地のローマ人村 ①

今回は中国の奥地にある、ローマ人の末裔が住むといわれる町についてです。 ヨーロッパ系の住民 中国の僻地にある村の住人たちは、DNA検査がもっともありえなさそうな1つの言い伝えを証明すると期待している。 その言い伝えとは、甘粛省驪靬(Liqian)県は…

『どくろ杯』金子光晴

発端 冒頭の「発端」の節で金子光晴が書くように「四十年もむかしのことで(…)おぼつかないことも多いが、それだけにまた、じぶんの人前に出せない所行を他人のことのように、照れかくしなくさらりと語れるという利得」があるのが、本作『どくろ杯』である…

Corpus 最新号

「Corpus 7 身体表現批評」という雑誌に寄稿しました。 全国の書店でお買い求めいただけます。 http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAY95548/ コンテンポラリーダンス、暗黒舞踏、舞踊、パフォーマンスまで、身体表現と呼ばれる芸術を批評する本格的な批…

『リトアニアとソ連邦の崩壊』

愛知芸術文化センターの『AAC』という広報誌の最新号(62号)に文章を書きました。 パソコンからPDFでも読めるので、是非ご覧ください(英語の抄訳付きです)。 http://www.aac.pref.aichi.jp/frame.html?aac/aactop.html 内容は、ジョナス・メカスの…

バウンティハンター ③

バウンティハンターの続きです。 失敗と成功 それからチームは空港へむかった。しかし、物事はうまく進まなかった。その場を目撃した地元の商人が、警察に知らせていたのだ。 それで騒ぎが大きくなり、メキシコ警察が出動する事態になった。 メキシコでは、…

バウンティハンター ②

現代の賞金稼ぎ、ドッグ・チャップマンの続きです。 連続強姦魔、アンドリュー・ラスター デュアン・ドッグ・チャップマンの名を不動のものにしたのが、2003年のアンドリュー・ラスターの事件である。 アドンリュー・ラスターは、大手の化粧品会社マックス・…

neofest ベストセレクション

最近、告知ばかりですみません。 小川町neoneo座の「neofestベストセレクションにて、『ベオグラード1999』の上映があります。 「neofest2009春」 観客投票第1位 (ドキュメンタリー/75分/2009年) 日時 : 12/5(土) 19:13〜20:28 場所 : 小川町neoneo…

TAMA CINEMA FORUM 映画祭

明日、11/25日(水)はTAMA CINEMA FORUM 第19回映画祭での上映があります。 お近くの方は、是非お立ち寄り下さい。 TAMA CINEMA FORUM 第19回映画祭にて、『ベオグラード1999』が上映されます。 「TAMA NEW WAVE」ある視点〜ドキュメンタリー・ナイト〜とい…

バウンティハンター ①

保釈金制度 賞金首をねらう賞金稼ぎといえば、もはや映画の世界と思うかもしれないが、アメリカでは、現在も日夜バウンティハンターが命をかけて戦っている。 州によっては登録制のところもあるが、無登録で開業できるところもある。私立探偵と同じようもの…

「山形国際ドキュメンタリー映画祭」評

右写真は大賞を獲得した『包囲:デモクラシーとネオリベラリズムの罠』 映画芸術DIARYで不定期連載している「闘うドキュメンタリー映画時評」。 今回は2009年10月に行われた、山形国際ドキュメンタリー映画祭について書いています。 http://eigageijuts…

『マレー蘭印紀行』 金子光晴

右写真は、バトゥバハの日本人クラブ 洗面器 開高健の小説に「洗面器の唄」という短編小説がある(講談社文芸文庫『戦場の博物誌』所収)。 むろん、金子光晴の「洗面器」(『女たちのエレジー』)という詩にかけたものである。 洗面器のなかの さびしい音よ…

上映とゲスト講義

11月11日(水)に奈良前衛映画祭の受賞を記念して、東京外国語大学にて上映会とゲストトークがあります。 お近くの方は是非お立ち寄りください。 上映作品 『ぬばたまの宇宙の闇に』 2008年/59分/8mm-16mmハイブリッド 日時:2009年11月11日(水)10時…

ドキュメンタリー時評

「闘うドキュメンタリー時評」の2本目を書きました。 今回は山形国際ドキュメンタリー映画祭2009についてです。 主に触れているのは、大賞にあたるロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞した『包囲:デモクラシーとネオリベラリズムの罠』。 それにギー…

奈良前衛映画祭

前作『ぬばたまの宇宙の闇に』(2008)が奈良前衛映画祭にて、NAC賞(最優秀作品)を頂きました。 詳しくは下記をご参照下さい。 発表記事 http://www.nara-zenei.com/index.html 作品紹介 http://www.nara-zenei.com/nac/nac.html 10年間かけて、8ミリフ…

露口啓二写真集

『露口啓二写真集/Blinks of Blots and Blanks/ICANOF2009』 全カラー・320ページ 定価(税込み)2500円(本体価格2381円) ISBN978-4-903301-04-4 C0072 ¥2,381E 北海道と風景 2009年の夏は、北海道で半月を過ごした。 ものすごいスピードで旭川、北見、…

出光真子氏インタビュー

ホワット・ア・うーまんめいど ある映像作家の自伝作者: 出光真子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/06/28メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (3件) を見る 映画芸術DIARYに、映画作家・出光真子氏のインタビューが掲載され…

AAC

愛知芸術文化センターが出版している広報誌に「AAC」があります。 「アート&ライフ」という特集を組んでいるのですが、その最新号(62号)で映画作家のジョナス・メカスについて書きました。 「生活者のまなざしで撮る映画」というタイトルです。 WEB…

『アンナと過ごした4日間』

イエジー・スコリモフスキが17年ぶりに撮った監督作『アンナと過ごした4日間』が公開された。 東京国際映画祭では、10月20日と21日に『身分証明書』『不戦勝』『バリエラ』『手を挙げろ!』の4本も上映される。 『アンナと過ごした4日間』 それにしても…

「マテリアル&メモリーズ」

水曜日に山形国際ドキュメンタリー映画祭に行く予定です。 原将人監督の『マテリアル&メモリーズ』に、バックバンドで参加します。 8mmフィルム 3面マルチライブ 『マテリアル&メモリーズ』 (8ミリフィルム/約120分/2009年/山形特別バージョン) 日程 …

月のひつじ ④

奇跡的な映像 強風がアンテナをあおり、きしむような音がするたびに、パークス天文台の制御室にいる技師たちは天井を見上げた。 1000トンの皿がうめき声を上げているかのようだった。一方、月面にいるアームストロング船長らは、今まさにイーグルを出て行こ…

月のひつじ ③

『月のひつじ』(原題:THE DISH オーストラリア映画)の裏にあったリアル・ストーリーです。 襲いかかる困難 1969年7月21日、午前6時17分。 宇宙飛行士のニール・アームストロングとエドウィン・アルドリンは、月着陸船イーグル号によって、月面にある「静…

月のひつじ ②

打ち上げから2日目 7月17日の木曜日。 アポロ11号は順調にオーストラリア西岸上空を飛行中だった。アームストロング船長は「いい旅になる」とコメントした。 世界中が月への夢を大きく膨らませた。 月面着陸を前にして、羊ばかりのいる小さな田舎町は、ひっ…

『ブルターニュ 死の伝承』

アナトール・ル=ブラースという人が書いた『ブルターニュ 死の伝承』という翻訳書を、少しずつ読み進めている。 なにせ訳注を入れると700ページ以上もある大部の書物で、そのような読み方がぴったり合っている本である。 ひと言でいえば、ラフカディオ・ハ…

Gunner Palace

今回は日本未公開のドキュメンタリー映画「Gunner Palace」(2004)についてです。 直訳すれば、「砲手の宮殿」とでもなるでしょうか。監督はPetra EpperleinとMichael Tucker。 私がバビロン音楽祭に随行するために、経済封鎖下のイラクへ渡航したのは1999年…

月のひつじ ①

映画『月のひつじ』で扱われた、アポロ11号の月面歩行テレビ中継の裏にあったストーリーを詳しく追ってみます。 アポロ11号計画 1969年7月21日、月曜日。12時56分(以下、時間はオーストラリア東海岸時間)に、人類にとっての大きな一歩が踏み出された。 ニ…

北方ジャーナル 

いま発売中の「北方ジャーナル」10月号(9/15)に、インタビュー記事が出ています。 http://hoppojournal.kitaguni.tv/e1364970.html お時間のある方は、ちょっとのぞいてみて下さい。

パラサイトの脅威 ③

象皮病 メリーアン・ペリーは、人道援助団体で働く美しい女性だ。ケニアで任務についてから4年たったころ、彼女は右足の異常に気付いた。 英国に戻る飛行機の中でふと足を見ると、指はソーセージのようで、足全体が晴れ上がっていたのだ。 一緒にいた友人は…

パラサイトの脅威 ②

ピラニアより怖い魚 アマゾン川でピラニアより恐れられている魚がいる。カンディルという小さな魚だ。 観光客はガイドからその魚の警告を受ける。 「決して川の中で小便をしないで下さい。カンディルが体の中に入ってきてしまいますからね」と。 地元の漁師…