シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

バウンティハンター ③

johnfante2009-12-05

バウンティハンターの続きです。

失敗と成功


それからチームは空港へむかった。しかし、物事はうまく進まなかった。その場を目撃した地元の商人が、警察に知らせていたのだ。
それで騒ぎが大きくなり、メキシコ警察が出動する事態になった。
メキシコでは、「バウンティハンター」という者は存在せず、勝手に人を捕まえれば誘拐罪に相当する。
今度はドッグ・チャップマンが捕まる番だった。 


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プエルタ・バヤルタの外れで、彼らは警官の防塞によって止められた。
メキシコの地元警察はドッグ・チャップマンらにラスターの引き渡しを要求したが、これを拒んだ。
ラスターは警察署に連れていかれた。それから、ドッグたちのチームと、撮影隊も警察署行きだった。
ドッグは警察署に2週間拘留された。
 

借金


ドッグの誘拐容疑は取り下げられた。彼らは解放された。しかし、ドッグの表情は晴れなかった。
彼のあらゆる努力は失敗に終わったのかもしれなかった。
理論的には、賞金稼ぎは重罪犯人の保釈金の10から15パーセントを手に入れることができる。
しかし、実際にはおよそ半分だけしか支払われなかった。ときどき、法廷や警察は支払を拒むことがあるのだ。 

結局、ラスターの件では、多額の借金が残ってしまった。しかし、すべてが失敗というわけでもなかった。
ホノルルに戻り、何週間かした後、事務所の電話ががんがん鳴りはじめた。
代理人、テレビ局、雑誌社などからである。突然、ドッグは人気者になったのだ。
そして、ドッグはアメリカのTVネットワークと、バウンティハンターのリアリティ番組をつくる契約書にサインした。
その主題歌はドッグの友人で、ファンだというオジー・オズボーンが歌うことになった。


 

TV番組「ドッグ・ザ・バウンティハンター」


アメリカのテレビネットワーク「A&E」は、リアリティTV番組「ドッグ・ザ・バウンティハンター」を放映している。
一種の台本のないドキュメンタリーで、逃亡犯を追い詰めるドッグ・チャップマンたちの姿をカメラが追っているシリーズものだ(日本ではスカイパーフェクトTVの「FOX CRIME」で放映)。


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番組の趣旨は以下のようなものである。
「自ら服役経験もあるハードコアな“DOG”率いる一家が,繰り広げる犯罪者更正大爆笑リアリティ番組
保釈保証人の達人“ドッグ”と、彼の仲間達が身の危険をさらしながら、指名手配犯を連行する数々の偉業を特集する。
仕事を成し遂げるべく、怪し気でいかがわしいホテル、麻薬の取引場所、無法者達の界隈に身を投じるチャップマン。
犯罪者の捕獲という非常に困難な任務に、体力、狡猾さ、強い信念を行使し、獲物を捕らえることに極めて優れた“ドッグ”。
ドッグ“自身、テキサス州連邦刑務所で服役後、法に従って社会に貢献することで名誉挽回することを心に誓い、身をもって社会への復帰をはたして以来、そこがどこであろうと、聞く耳を持つ者には、可能な限りやり直すチャンスを与え援助を試みる。
“ドッグ”が、追い詰める逃亡者を校正させるべく助けを施すのは、彼自身の犯罪暦がそれを促していると言えよう。彼はアメリカの司法制度を固く信じ、全ての人に慈悲の念をあらわしている」。


ドッグはこうして、ひょんなことから全米に知られるテレビスターになったのである。