シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

『森のムラブリ』@K's Cinema

開催中の「東京ドキュメンタリー映画祭2019」ですが、連日大入りでびっくりしています。
特に今回プログラムした「映像人類学の冒険」が盛況で、何か波が来ている感じ。


2019年12月6日(金)14時には、当方の新作ドキュメンタリー『森のムラブリ』のお披露目があります。
ぜひ、新宿K's Cinemaのスクリーンでご覧ください。

http://tdff-neoneo.com/lineup/lineup-1083/

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特集5 森のムラブリ 上映時間85分

12月6日(金)14:15〜上映

タイやラオスの森で暮してきたムラブリ族は、400人しかいない狩猟採集民。消滅が危惧され る彼らの言語を研究する学者・伊藤雄馬と村に入ったカメラは、定住化は進むが、互いの集団が「人食いだ」と言って対立する様を見る。インドシナ半島のゾミ アたるラオスの山中で、いまだノマド生活を送る集団に接触すべく奥地に入り、世界初の撮影に成功する。そこで目撃された現代の遊動民が抱える問題とは?

<監督の言葉>
タイ、ラオスミャンマーにかけてのゾミ アと呼ばれる山地に住むムラブリ族は、半裸で森を移動する遊動民で、長らく狩猟採集生活をしてきました。家をもたず野営地にバナナの葉で寝床をつくること から、地元のタイ人やベルナツィークたち民族学者から「黄色い葉の精霊」と呼ばれました。ちょうど100年前の1919年に、彼らと文明世界の最初の接触があったといわれます。
こ の映画はまず、タイ側で焼畑農業をおこなうモン族にジャングルを焼き払われた挙げ句、日雇い労働者として彼らの農業を手助けしている実体を描きます。無文 字社会に生きてきたムラブリ族ですが、即興的な歌唱法と口述伝承でつたわってきたフォークロアを豊富にもっています。ムラブリ語を流暢に話し、インドシナ 半島の各地に散らばったムラブリ族の言葉を比較研究する日本の言語学者・伊藤雄馬氏と出会ったことから、このドキュメンタリー企画はスタートしました。映 画の後半では、伊藤氏とわたしのカメラはラオスの森の奥深くに踏みこみ、研究されることも撮影されることもなかった現代のムラブリ族の、昔ながらの遊動民 の暮らしを記録しています。

東京ドキュメンタリー映画祭2019

11/30(土)〜12/6(金)の1週間、「東京ドキュメンタリー映画祭2019」が新宿K's Cinemaにて開催されます!
長編コンペ、短編コンペの37本のほか「映像人類学」特集など10本を上映。プログラマーの当方は、ほぼ毎日劇場に。年内最後の映画の祭典で、お会いしましょう。

スケジュール
http://www.ks-cinema.com/movie/tdff2019/

公式サイト

http://tdff-neoneo.com/

Tokyo Documentary Film Festival, Nov 30-Dec 6, at K's Cinema. We will show 47 films. Don't miss it !

 

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『森のムラブリ』@神戸外語大

新作の長編ドキュメンタリー『森のムラブリ』(2019)が、2019年11月27日(水)に、神戸市立外国語大学で上映イベントされます。
出演者の伊藤雄馬さんのトークもついています。詳細は下記です。

http://www.kobe-cufs.ac.jp/news/2019/20323.html

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ドキュメンタリー映画 『森のムラブリ』(監督:金子遊) 上映会(11月27日開催)のお知らせ

タイ・ラオスに居住する少数民族「ムラブリ」のドキュメンタリー映画を上映します。

東南アジア大陸部にすむ遊動民の生活や文化的価値観を知る貴重な機会です。また映画に出演した研究者の伊藤雄馬氏を招聘し、簡単な解説も行なってい ただきます。本作品は2019年12月6日に東京・新宿K's Cinemaで行われる東京ドキュメンタリー映画祭に出品されます。神戸では先行的に上映されます。

多数のご参加をお待ちいたしております。

解説者・出演

伊藤雄馬

富山国際大学専任講師。島根県生まれ。京都大学大学院文学研究科研究指導認定退学。

タイ王国ナーン県およびラオス・サイニャブリー県を中心にムラブリ社会に入り込み、ムラブリ人の言語を調査研究している。

日時・場所

11月27日(水曜) 18時~20時

神戸市外国語大学 第2学舎2階504教室

―スケジュール予定―

18時 開会と映画紹介

18時15分~19時45分 『森のムラブリ』上映

19時45分~20時 解説とまとめ、閉会

主催

神戸市外国語大学記述言語学研究会 (代表: 林範彦)

 

 

NHK第2放送「文化講演会」に出演

AMのNHKラジオ第2放送の番組「文化講演会」にて1時間、レクチャーが放映されます。
2019年11月17日(日)21時〜22時。「映像作家が旅する西アフリカ」という題で、映像人類学ジャン・ルーシュベナン共和国への旅について語ります。
https://www4.nhk.or.jp/bunkakouenkai/x/2019-11-17/06/73504/3894864/

NHKのラジオ放送は、下記のサイトで聴くことができます。

https://www.nhk.or.jp/radio/

再放送は11/23(土)朝6:00〜。また「文化講演会」のサイトで、しばらくストリーミング再生できるようになります。

https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2019-11-23&ch=06&eid=74831&f=969

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時間と空間の交点—芸術人類学のめざすもの

2019年11月17日(土)に、次のシンポジウムにコメンテーターとして登壇します。

http://www2.tamabi.ac.jp/iaa/2019_iaa_symposium/

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第7回「土地と力」シンポジウム「時間と空間の交点—芸術人類学のめざすもの」

人間は、時間と空間を認識することではじめて人間となった。そして、時間と空間が一つに交わ るところに、種族の記憶の表現であり個人の記憶の表現でもある芸術作品を残してきた。自然との相互作用のなかで、自然に対して果てしのない畏怖と敬意を抱 きながらも、そこにもう一つ別の世界の可能性を切り拓いてきた。

芸術の発生を広大な人類史のなかに位置づけ、さらには現代の芸術のも つ可能性までをも俯瞰する。生命と環境、場所と記憶、理論と実践……。芸術人類学研究所がこれまで開催してきた「土地と力」をめぐるシンポジウムの一つの 総括として、芸術人類学が実現を目指してきたもの、さらにはその未来までをも徹底的に論じ合う。

◉開催概要

日 時  2019年11月16日(土)開演:14:00(開場13:30)

会 場  多摩美術大学 八王子キャンパス・レクチャーホールB

 

発 表  鶴岡真弓 所長(芸術文明史家)

  平出 隆 所員(詩人・作家)

  港 千尋 所員(写真家・映像人類学者)

  安藤礼二 所員(文芸評論家)

  椹木野衣 所員(美術批評家)

コメンテーター  金子 遊(批評家・映像作家)

 

定 員  先着200名(事前申し込み不要。直接会場へお越しください。)

※一般の方は先着順でご入場いただき、満席の場合は立ち見となります。

参加費  無料






雑誌「思想」に寄稿

岩波書店の雑誌「思想」の<1989特集>に寄稿しました。
「ポスト東欧革命の映像――チェコマケドニアボスニア」と題して、映画『コーリャ 愛のプラハ』『ビフォア・ザ・レイン』『ライフ・イズ・ミラクル』について論じています。
https://www.iwanami.co.jp/book/b481483.html

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ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス回顧

アテネ・フランセ文化センターで、2019年4月に亡くなったブラジルの巨匠ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス監督の回顧上映が始まりました。
当方は11/9(金)18時半〜、『ブラジリアン・ニュー・シネマ』やジルベルト・フレイレ著『大邸宅と奴隷小屋』の訳書で知られる、ブラジルの歴史学者鈴木茂先生とトークに出ます。
詳細 

http://www.athenee.net/culturalcenter/program/pe/pereira.html

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ブラジル「シネマ・ノーヴォ」の精神的支柱
ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス監督回顧

2019年11月7日(木)ー11月16日(土)(日曜休館 9日間)
会場:アテネ・フランセ文化センター

シネマ・ノーヴォの誕生を告げる『リオ40度』(1956)や1964年のカンヌ映画祭で世界に衝撃を与えた『乾いた人生』の監督ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス(1928-2018)。
同志グラウベル・ローシャと共にブラジルの革新的映画運動(シネマ・ノーヴォ)を牽引した映画作家の足跡を代表作で辿る追悼特集。
ブラックコメディ『私が食べたフランス人』(1971)を日本語字幕付で日本初上映。

■上映スケジュール
※チケットは1回目上映開始の20分前から、当日上映分を販売します。

11月7日(木)

16:10 『リオ40度』(100分)
18:00 トーク
マリー=クリスティーヌ・ド・ナヴァセル
(シネマ・デュ・レエル元ディレクター)
19:00 『乾いた人生』(105分)

11月8日(金)

14:00 『私が食べたフランス人』(84分)
16:00 『オグンのお守り』(112分)
18:30 『奇蹟の家』(148分)

11月9日(土)

13:00 『人生の道~ミリオナリオとジョゼ・リコ』(103分)
15:10 『監獄の記憶』(188分)
18:30 トーク鈴木茂歴史学者)、金子遊(映像作家・批評家)

11月11日(月)

15:00 『第三の岸辺』(98分)
17:10 『主人の館と奴隷小屋』(228分)

11月12日(火)

14:30 アントニオ・カルロス・ジョビン(84分)
16:30 トム・ジョビンの光』(85分)
18:00 トーク今福龍太文化人類学者)
19:00 『私が食べたフランス人』(84分)

11月13日(水)

15:00 『監獄の記憶』(188分)
18:40 『奇蹟の家』(148分)

11月14日(木)

14:40 『主人の館と奴隷小屋』(228分)
19:00 『第三の岸辺』(98分)

11月15日(金)

14:30 『人生の道~ミリオナリオとジョゼ・リコ』(103分)
16:40 アントニオ・カルロス・ジョビン(84分)
18:30 トム・ジョビンの光』(85分)
20:00 トーク国安真奈(会議通訳・翻訳者、音楽ライター)

11月16日(土)

13:00 『リオ40度』(100分)
15:10 『乾いた人生』(105分)
17:20 『オグンのお守り』(112分)
19:20 トーク
筒井武文(映画監督)
井土紀州(映画監督・脚本家)
岡田秀則(国立映画アーカイブ主任研究員)

ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス
Nelson Pereira dos Santos


1928年、サンパウロに生まれる。サンパウロ大学法学部に学び、ジャーナリスト、映画評論家、助監督を経て、リオのスラムを舞台にした『リオ40度』 (1956)で長篇監督デビューを飾る。この映画は後に、新しいブラジル映画(シネマ・ノーヴォ)の先駆的作品とみなされるようになった。63年、長年の 念願だったグラシリアーノ・ラモス原作『乾いた人生』の映画化を実現。グラウベル・ローシャの『黒い神と白い悪魔』とともに、シネマ・ノーヴォを代表する 作品として国際的な評価を得る。軍事政権下、政治的寓話に満ちた作品を通して表現に磨きをかけ、民政移管が始まった74年以降は大衆映画を模索する一方、 ブラジルにおける民主主義のあり方を歴史的に問い直すなか、『オグンのお守り』(1975)『奇蹟の家』(1977)『監獄の記憶』(1984)などを発 表。自主的な映画上映網を組織するとともに、長年大学で後進の指導にあたるなど、つねに時代情況にコミットしながら製作と運動を続けてきた気骨の映画作家 である。2018年4月21日死去。最後の作品は、ブラジル音楽を代表するミュージシャン、アントニオ・カルロス・ジョビントム・ジョビン)の関係者へ のインタビューで構成した『トム・ジョビンの光』(2013)。ブラジルのナショナリティーを問い直す次回作の構想もあったと伝えられる。

ベトナム映画シンポジウム

ベトナム映画に関する「日本ベトナム研究者会議」のシンポジウムが、東京で開催されます。
当方は「座談会」にコメンテーターとして登壇します。


日時:2019年11月10日(日)午後1時から5時
場所:東京大学駒場キャンパス駒場国際教育研究棟3階314

http://jasvis.com/wp/?page_id=33

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近年、東南アジアの映画分野に高い関心が集まっています。

このようななか、制作、配給、翻訳、通訳といった多角的な視点か
ベトナム映画について議論できる貴重な機会になることとと存じます。
皆さま奮ってご参加ください。

日時:2019年11月10日(日)午後1時から5時(5時より会員総会)

場所:東京大学駒場キャンパス駒場国際教育研究棟(旧6号館)3階314
京王井の頭線駒場東大前駅東大口下車徒歩5分。構内地図は
下記ウェブページをご参照ください)
https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_05_j.html

プログラム:
1:00~趣旨説明

1:15~報告1
坂川直也(東南アジア映画史研究者)
ベトナム映画の現在形~女性・インディペンデント・韓流~」

1:55~報告2
岡田裕(映画プロデューサー)・熊谷睦子(映画プロデューサー)
「日越合作映画の製作とベトナム映画の日本での公開について」

2:50~報告3
秋葉亜子(ベトナム映画字幕翻訳、通訳)
「字幕翻訳者から見たベトナム映画」

3:35~座談会
コメンテーター:金子遊(批評家、映像作家)

4:20~ 質疑応答
4:50~ 閉会の挨拶

5:00~ 会員総会
(以上)

小説『熱源』の書評

2019年10月19日付けの「日本経済新聞」に、川越宗一著『熱源』の書評を書きました。
民族学者ブロニスワフ・ピウスツキと、樺太アイヌの人たちの邂逅を中心に書いた、サハリン島を舞台にした珍しい歴史小説です。下記の新聞社のサイトでも全文読めます。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO51136670Y9A011C1MY6000/

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『解放区』パンフレット

テアトル新宿で公開中の映画『解放区』(太田信吾監督)のパンフレット、ゲットしました!
か、かっこいい表紙。誌面もおしゃれ。インタビューも論考もボリュームたっぷり。当方が執筆した解説文、「セミ・ドキュメンタリーが解放区を奪取する」も掲載されています。
全国で上映が続きますので、劇場でどうぞ。

http://kaihouku-film.com/

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