シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

ドリュー・バリモアと6次の隔たり ①

johnfante2007-01-12

デート・ウィズ・ドリュー [DVD]

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コネクションを持たない一般人の男が、1100ドル、30日間でハリウッド女優ドリュー・バリモアとデートする方法。
その裏には「6次の隔たり」やビデオカメラでの映画制作の利用など、意外な着想の妙が隠されていた。


ドリュー・バリモアは1975年、カリフォルニア生まれ。
俳優一家のバリモア家に生まれ、生後まもなくCMに出演。
4歳の時、ケン・ラッセル監督の「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」で映画デビュー。
82年、「E.T.」のガーティ役で出演し、その愛くるしい顔で人気爆発。
その後、ゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされた「ペーパー・ファミリー」「炎の少女チャーリー」にて、子役で主演をつとめ、順調なキャリアを重ねた。


10代は、子役の頃のイメージとは正反対の、不良少女のようなダーティーな役柄を演じ、「スクリーム」(96)などのヒット作に出演。
ウェディング・シンガー」(98)からは清純でキュートな笑顔を見せるドリューが戻ってきた。
95年にナンシー・ジュボネンと製作会社フラワー・フィルムズを設立。
25年目のキス」「チャーリーズ・エンジェル」で主演・プロデューサーを勤めた。
近年は「50回目のファースト・キス」「2番目のキス」など、ラブコメのヒット作にも恵まれ、名実ともにハリウッドのトップ女優である。


ハリウッド・エンジェル―失われた少女時代を乗り越えて

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ブライアン・ハーツリンガー


ロサンジェルスに住むブライアン・ハーツリンガーは、これといった趣味も特技もない平凡な成人男性。
イサカ・カレッジの映画科を卒業したものの、27歳で無職。
母親の口癖は「何も入ってこないよりは、何がしか入ってきた方がいい」で、仕事を見つけるようにせっつかれている。
そんなブライアンが、唯一他人に誇れることは、『E.T.』を見た6歳のころから憧れている芸能人ドリュー・バリモアについての知識が誰よりも豊富なこと。
ブライアンは子役時代のドリューの写真を保存しており、子供のときにはファンクラブにも所属していたのだ。
ブライアンの1歳年上のドリュー・バリモアは、4歳のときにハリウッドで映画デビューして以来、セレブリティとして、平凡な彼とは対照的な人生を歩んできた。


ある日、ブライアンはTVのゲーム番組で、賞金$1,100(約13万円)を獲得する。
その最後のゲームの答えが「ドリュー・バリモア」だったことから、ブライアンは自分勝手に運命を感じる。
そして、生涯の夢の一つである「ドリュー・バリモアとデートする」ことを実現に移すことに決める。
重要なのは、映画界において、まったく無名のコネなし男のブライアンが、映画オタクやストーカーの類ではないことだ。
観客はこの無害で冴えない男が、人生に行き詰ったところで、このような試みをするところに好感さえ覚えてしまうだろう。
仕事もなく、クレジットカードの残高もオーバーしていて使えないブライアンは、生活費にまわすべき1100ドルを元手に、「ドリュー・バリモアとデートする」ことを目指すドキュメンタリー映画を製作することにする。


資金は1100ドル=クイズ番組の賞金。
期間は30日=ビデオカメラの使用可能期間。
限られた条件の中、ブライアンはハリウッドのスター、ドリュー・バリモアとデートするという不可能に近い人生の賭けに出た。



セレブに近づく意外なアイデア


ブライアンが最初にしなくてはならないのは、ビデオカメラを手に入れることだった。
1ヶ月以内に返品すれば、全額が戻ってくる量販品店の返品保証制度を利用する。
自分には資金がないので友人のブレットに立て替えてもらい、高性能ハンディカメラを買ってもらう。
これならば、1ヶ月間無料でレンタルするようなものである。


まずは、自分の映像仲間や家族を集め、幼い頃からのドリューへの想いを赤裸々に告白するが、誰もが反対するか、何でいまそんなことをする必要なのかと疑問を持つ。
そんななかで、ブライアンはイサカ・カレッジの同窓生、ブレット・ウィンとジョン・ガンの協力を得て撮影開始。
映画CMのナレーションをしているジョージ・デルホイヨの協力を得て、30日間でドリュー・バリモアとデートをしようとしている男の映画CMを作成。
これを友人の誰かに託して、ドリュー本人に見てもらおうというアイデアである。


8日目。ブライアンは友人の紹介で、芸能マネージャーのエリック・ロバーツの協力を得る。
エリックは97年にドリューと映画共演したアンディ・ディックという俳優を知っており、アンディとドリュー・バリモアは、良い友人だというのである。
6次の隔たり」で言えば、距離度が4ということになる。
悪くない。
アンディと車に乗ったブライアン。
アンディはドリュー・バリモアの事務所に電話する。
はたして返事はかえってくるのだろうか。


mixiなどをやっている人ならば「Six Degrees of Separation」という言葉を一度くらいは聞いたことがあるだろう。これは日本語で「6次の隔たり」などと呼ばれている。
「世界の任意のふたりの人間をつかまえて、その関係性を探れば、だいたい6人を介したところですべて繋がる」という考え方である。
「Aという俳優がドリューのことを知っている。
僕の友人・エリックの知り合いがその俳優だから、図式化すると、僕→友人→エリック→アンディ→ドリュー、ということになって、つまり距離度は4ということになる」
一方、デートの日に備えてブライアンはアンドリアとダイエット作戦を開始。
減量と上半身を鍛えることが主な目的である。
ブライアンはステファニー・バレルという、ドリューの従姉妹のインタビューに成功する。
しかし、彼女はほとんどドリューと交際がなかった。


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②へ続く