シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

超図説 目からウロコの精神分析学入門

johnfante2008-02-01

超図説 目からウロコの精神分析学入門―進化した解釈から最新の精神療法まで (講談社SOPHIA BOOKS)


精神分析について


「無意識」「自我」「抑圧」「トラウマ」など、精神分析の用語は日常的に使われているが、本当にそれを理解している人は意外と少ないのではないだろうか。
欧米では「ジョークや漫画に精神分析の知識が当たり前のように使われて」おり、いまや専門家でなくても、現代人であれば誰もが知るところの常識となっているようだ。
とはいえ、精神分析学はさまざまな学派に分かれている上に、専門書は「翻訳が硬い」ために、まだまだ読みづらいものがある。


ソフィア・ブックス


本書は、図説で有名な講談社ソフィア・ブックスのなかでも、イラストと写真が8割近くを占める「超図説」シリーズの1冊である。
ほぼ全ページがマンガ仕立てになっているので、仕事が忙しくて本を読む時間がない人や、新書程度の内容を軽くかじってみたい人に最適だ。
無意識の闇から浮かび上がってきたようなサラーティの絵も魅力的だし、フロイト博物館の教育部長を務めるという著者の短く的確な文章も効いている。


入門書として


精神分析を考案したフロイトの話にはじまり、「精神分析は宗教か、科学か?」という問題や「子どものセクシュアリティ」についてなど、特定の学派に偏ることなく広く公平に理論を紹介し、問題点を指摘する。
実際の診察における分析医のジレンマや、最新の精神療法について触れているのも興味深い。
本書を読んで準備が整ったら、巻末の参考文献を利用してより詳しい本を読んでみるのもいいだろう。


初出:Amazon.co.jp