- 作者: クリストファー・フィリップス,森丘道
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/06/24
- メディア: 単行本
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カフェに入ると話しがはずみ、時がたつのを忘れてしまう。
パリの文学者はカフェで議論に熱中し、ビートニクはコーヒーハウスにたむろして音楽やアートについて語った。
それを一歩すすめた「哲学カフェ」が世界中でブームになっている。
実際に、議論好きの集う「ソクラテス・カフェ」を米国で主催する著者が、これまでの体験と発見をドキュメンタリー・タッチでつづったのが本書である。
知らないもの同士がカフェにつどい、2時間ほど語りあう。
「みんなに開かれた哲学的なディスカッションの集まり」だから、進行役はいるがルールはない。
テーマも参加者の提案で決まり、「精神の異常とは何か」「やりがいのある仕事と何か」「沈黙とは何か」など多岐にわたる。
議論が白熱すると、精神病者が独白をはじめたり、教授と学生がけんか腰でやりあったりもする。
子どもの何気ないひと言が議論を決着し、拍手がわきあがったりするのもおもしろい。
本書によれば、2500年も前にソクラテスがアテネの街をぶらつき、人をつかまえては「無知とはなんぞや」と議論をふっかけていたのが哲学のはじまりであり、ぶ厚い本を読み、専門用語を駆使するような哲学は後世の邪道である。
カフェで人生について語りあうだけで、「哲学を元あった場所に返す」というムーブメントに参画できるのだから、こんな痛快な話もない。
初出 : Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334961568/250-1090576-5275405?v=glance&n=465392&s=books