シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

マーダーボール ①

johnfante2007-09-18

マーダーボール [DVD]

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ウィルチェアー・ラグビーとは


戦車のようにカスタマイズされた車いすを駆使して相手をなぎ倒し、格闘技にも匹敵する激しさから“マーダーボール”とも言われる競技、ウィルチェアーラグビー車いすラグビー)。
記録映画『マーダーボール』は、ウィルチェアーラグビーで世界一を目指す男たちを追ったスポーツ・エンタテインメントである。

USA対カナダの因縁対決


不良少年として育ち、事故で車いす生活を余儀なくされてもその生活ぶりは変わらない、アメリカ代表チームキャプテン、マーク・ズパン。
ケンカがもとで不完全四肢マヒになったスコット・ホグセット、9歳にして病気で両手足を失ったボブ・ルハノらチームメンバーの活躍で、アメリカ代表チームは世界選手権を10連覇していた。


しかし、2002年大会決勝で奇しくもカナダに敗れてしまう。
カナダ代表チーム監督は、かつてアメリカ代表選手として活躍していたジョー・ソアーズ。
家族との関係にも支障をきたすほどの情熱を競技に注ぎ、激しい闘志を剥き出しにする“裏切り者”ジョー率いるカナダからNo.1の座を奪還すべく、アメリカ代表は再びハードなトレーニングを開始する。



その頃、ニュージャージー州に住む少年、キース・キャビルはリハビリ生活をスタートさせていた。
彼は4ヶ月前にバイク事故に遭い、下半身不随となってしまったのだ。靴を脱ぐ事すらできないという現実に苦悩する日々。
そんな彼が車いすでの生活を受け入れるきっかけとなるのは、ウィルチェアーラグビーとの出会いだった。


個性豊かな選手たちとその恋人・家族との関係、そして事故の加害者との確執や苦悩を交えながら、舞台はアテネパラリンピックでのアメリカとカナダの因縁の対決へと向かっていく……。
激しいタックル、スピード、息を呑むほどの臨場感。その試合がもたらす熱狂と興奮、そして過酷な運命と闘い続ける選手たちが、最も過激な競技でプレーする姿は、観るものすべての胸を熱くする。


USA代表キャプテン、マーク・ズパン


慣れた手つきでカスタマイズされた車いすに乗り込み、トレーニングのためジムへ向かう男。
長いヒゲと派手なタトゥーが印象的なマーク・ズパンは、ウィルチェアーラグビー車いすラグビー)のアメリカ代表選手である。
11年前の交通事故で四肢マヒ障害を負ったが、事故に遭う前から両親も手を焼く”荒くれ者”だった。
車いす生活になった今でも、健常者相手に喧嘩を吹っかけ「俺が車いすだから引くのか?来い!殴り返してやる」と、性格はそのままだ。


ウィルチェアーラグビーに参加するほとんどの選手が頚椎を損傷しており、同じアメリカ代表選手のアンディ・コーンは交通事故、スコット・ホグセットはケンカが原因で、ボブ・ルハノは子どもの頃の病気で両肘・両膝の先を失い、車いす生活を送っていた。