シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

マフムード・ダーウィッシュ

johnfante2007-12-23

アワーミュージック [DVD]

アワーミュージック [DVD]


ダーウィッシュが実名で登場するゴダールの映画『アワーミュージック』(上)
ダーウィッシュの詩集・仏語版(右)


パレスチナの抵抗詩人


マフムード・ダーウィッシュ(Mahmoud Darwich)は、1942年にパレスチナガリラヤの地にある村に生まれた。その場所は48年にはイスラエルによって占領された。彼は政治運動をして、何度か投獄されている。

亡命先として旧ソ連、エジプト、レバノンなどの地で、新聞記者やパレスチナ系の雑誌の編集などをして暮らしてききた。それからPLOのスポークスマンとなった。
1996年からはパレスチナに帰還して住んでいる。ラマラの地でのパラスチナ人によるインティファーダの中心的存在となっている。
英語の訳詩から日本語に移し変えたもの(重訳)を試みに、下に載せてみる。


詩と写真



映像「État de siège」
Marmoud Darwich の詩をElias Sanbarがアラビア語から仏語に訳したもの。
写真はOlivier Thébaud


A State of Siege


「包囲状態」(抜粋)


ひとりの女が雲にたずねた 
私の愛したものを包んでください、と

私の服は彼の血で染まっています
愛しい人よ もし、あなたが雨でないのなら 
せめて木であってください
豊かに生い茂った 木であってください
愛しい人よ もし、あなたが木でないのなら
せめて石であってください
湿り気を十分に含んだ 石であってください
愛しい人よ そして もし石でないのなら
月であってください
人々の夢のなかで愛されるような 月であってください
そのように その女は息子にいった
彼の葬式において

それは永遠に硬くなってしまった
包囲されているとき 空間は時間となる
それは自身の過去や未来に間に合わなかった



「A State of Siege」を英訳しているサイト
http://www.arabworldbooks.com/Literature/poetry4.html
http://www.duckdaotsu.org/siege.poetry.html


「アワーミュージック」



『アワーミュージック』のなかでダーウィッシュが登場するシーン
(英語字幕あり)