シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

アフンルパル通信

johnfante2009-04-01

メカスの映画日記―ニュー・アメリカン・シネマの起源 1959‐1971

メカスの映画日記―ニュー・アメリカン・シネマの起源 1959‐1971


右の小冊子「アフンルパル通信」に、ジョナス・メカスと映画に関するエッセイを書きました。
下記にその一部を抜粋しておきます。
ご興味のある方は、ぜひお手にとってみて下さい。

ニューヨークにて


二〇〇〇年七月にニューヨークへ旅したとき、意を決し、アポイントなしで映画作家ジョナス・メカスを訪ねた。
イースト・ヴィレッジを歩いていき、フィルム・アーカイヴスの前をうろついていた。
すると、三人の男がお喋りをしながら街路を歩いてきた。
その中の一人に「メカスさんですよね?」と話しかけた。
彼はしばらく考えるように黙してから口を開いた。


「いや、私はメカスじゃない。君がメカスだ。この街路樹を見てごらん。この木の肌、この枝、この葉の一枚一枚がメカスなんだ」。
本人だと確信した私はフィルム・アーカイヴスの事務所へついていった。
メカスは「君は日本から来たわりには英語がうまい」と褒めてくれた。
何気なく言ったことだろうが、リトアニアで詩人として活動していた彼が反ナチス運動に関わったばかりに亡命を余儀なくされ、一九四九年に難民としてたどり着いたニューヨークの地でどれだけ英語に苦労したか、その一言からだけでも想像ができた。


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【第柒号 目次】 題字:吉増剛造
  ・金子 遊 「失われた記憶にふれる指」
  ・関口涼子 「舌の下でゆっくりと溶けていく言葉」
  ・宇波 彰 「甘楽の赤武者」
  ・管 啓次郎 詩「AGENDARS16-17-18」
  ・文月悠光 詩「私たち、密生する。第二回 ―おとこ―」
  ・大友真志 写真「サハリン」


・料 金 : 1冊 500円(内税)、送料80円
・発行:書肆吉成 制作協力:かりん舎
・発行日:2009年3月10日