シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

「neoneo」7号刊行

johnfante2016-07-03

ドキュメンタリーマガジン「neoneo」7号が刊行されました。


今回は特集「よみがえれ土本典昭」で、「オホーツク 漁る人びと」という論考を書きました。
サハリンへの旅を起点に、アイヌと北方諸民族、日本とロシアの境をまたいでオホーツク圏の漁業を書籍と映像で描き出した、土本の民族誌について書いています。

ネット販売ページ http://webneo.org/info



[Contents]
【特集1】ノンフィクション×ドキュメンタリー 文章と記録映像のあいだ


ノンフィクションとドキュメンタリー。活字と映像の違いはあれど、人に会ってインタビューをしたり、資料を集めたり、撮影や録音をしたりと、仕事の内容はそれほど変わりありません。また、同じ題材を扱ったノンフィクションと映画も数多く存在します。
本特集では、映画と同じ題材を扱ったノンフィクションを10本取り上げ、文章と映像の異種格闘技戦を試みました。数々の名作ノンフィクションの世界に足を踏み入れ、記録映像と比較することで見えてくるドキュメンタリー表現の面白さを、たっぷりとお楽しみください。


巻頭インタビュー 森達也 
『A2』から『FAKE』まで、空白の15年を語る 佐藤寛朗


ノンフィクションvsドキュメンタリー 10本勝負!
五体不満足』VS『さようならCP』堤拓哉
『プロレス少女伝説』VS『ガイア・ガールズ』 藤田修平
『牛を屠る』VS『ある精肉店のはなし』 岡田尚文
『在日の耐えられない軽さ』VS『ディア・ピョンヤン』 若林良
『ボクの彼氏はどこにいる?』VS『ターネーション』 國友万裕
『牛と土』VS『東北記録映画 三部作』 中里勇太
中国嫁日記』VS『妻はフィリピーナ』 佐藤寛朗
『代議士の誕生』VS『選挙』 細見葉介
『日の鳥』VS『由美香』 岡村亜紀子
戒厳令下チリ潜入記』VS『戒厳令下チリ潜入記』 鈴木並木
論考 『綴方教室』から『ビリギャル』まで ―本と映画の八〇年―  清水浩之


【特集?】 よみがえれ土本典昭 没後8年 水俣公式確認60年


「3.11」の後、混迷を深める世界や日本社会ですが、その問題の本質は、全て記録映像作家・土本典昭(1928−2008)の作品群に刻印されていると言えるでしょう。とりわけライフワークであった水俣病をはじめとする公害や原発、そして領土やアフガニスタンイスラム社会)の内戦の問題……その構造や解決のヒントは、彼の記録映画と、そこで生きている人々の姿から、必ず見えてくるるはずです。だからこそ、水俣病公式確認60年の今、私たちは言わねばなりません。「よみがえれ、土本典昭」と!


インタビュー 原一男「巨匠・土本を越える!」聞き手 石坂健治
作品論 『水俣 患者さんとその世界』 菊井崇史
論考 起きあがれる方へ 石牟礼道子土本典昭 藤原安紀子
論考 土本典昭にとって晩熟とは何か 杉田俊介
エッセイ 『原発切抜帖』―メディアがメディアを切る 鎌仲ひとみ
特別寄稿 土本さんちの宝探し 土本基子
論考 土本と岩波映画 森田典子
エッセイ 小川紳介土本典昭 伏屋博雄
作品論 アフガニスタンに散った花 佐藤奈緒
エッセイ『よみがえれカレーズ』のこと 熊谷博子
論考 オホーツク 漁る人びと 金子遊
土本典昭DVD&書籍ガイド 菊井崇史