トカトントン
第23回国民文化祭・いばらき2008 こくぶん祭 ひたちなかしの催し『食の祭典』
開催予定: 2008年11月01日〜2008年11月03日
午前10時〜午後5時
主催者 : 第23回国民文化祭茨城県実行委員会事務局
◆場所 ひたちなか市文化会館
◆ひたちなかオリジナル弁当の販売
ひたちなか市では、国民文化祭をより楽しんで頂くため、「ほげほげ(※)
弁当」を開発しました。開催期間中、会場にて販売されますので、ぜひ
ご賞味ください。
※茨城の方言で作物などがたくさんほくほく採れて喜様やものを多く食べる時に使われる「たくさん」の意味。
◆食に関する講演会など
・茨城の食フォーラム「昔〜現在〜未来の食とは」
日時:11 月1日(土) 午前10 時〜正午
場所:市文化会館大ホール
有識者5名によるパネルディスカッションを行います。
鈴木 誉志男 氏(コーディネーター・商工会議所副会頭)
西野 虎之助 氏(スローフード茨城リーダー)
根本 悦子 氏 (クッキングスクール校長)
にひらあきら 氏(農学博士)
清水 実 氏 (商工会議所観光・サービス業部会長)
・服部幸應氏講演会
日時:11 月1日(土)午後1 時30 分〜午後3 時
場所:市文化会館大ホール
演題:食育のすすめ
副題:「大切なものを失った日本人」
※事前に申し込みされている方は、入場受付係までお越しください
・食に関する講習会〜食育、食の安全〜
日時:11 月2日(日)〜3日(祝)
①午前10時〜11時30分 ②午後1時30分〜3時
場所:コミュニティ棟2階大・小練習室
講師:高藤 義彦 氏(ひたちなか保健所衛生課係長)
清水 実 氏(商工会議所観光・サービス事業部会長)
井上 幹枝氏(高野小・学校栄養職員、管理栄養士)
金子 遊 氏(海洋高等学校教諭)
【問合せ】
ひたちなか市実行委員会(教育委員会文化課)
TEL:029-273-0111(内線344、345)
(掲載日:2008年10月20日)
http://www.genkinet-hitachinaka.jp/event_info.php?id=1027
トカトントンの音
太宰治の「トカトントン」における音について考えてみたい。
この短編小説では、天皇の玉音放送の後、金槌で釘を打つトカトントンという音が聞こえてくる。
このとき主人公の「私」は「きょろり」となる。
「きょろり」は聞き慣れない副詞だが、大辞林によると「目を大きく見開いているさま」「平気なさま けろり」とある。
本文にもあるが、「きょろり」あるいは「けろり」は決して虚無的(ニヒリズム)ではない。
金槌で釘を打つときのトカトントンという音は、何か建設的なイメージさえ与えるだろう。
それと同じように「きょろり」も、何かに囚われた状態から、平然とした状態に戻るようなイメージの音ではないだろうか。
あるいは健忘症の音といってもいいのか。
苦悩ときょろり
この書簡体小説の語り手を太宰治のように読む人がいるようだが、私はむしろ太宰に手紙を送ってくるような戦後日本のたくましい民衆ではないか、と思う。
敗戦時に自害しようと思ってもケロリとして、鬱病になってもケロリ、失恋してもケロリ。
政治運動のデモに感動してもケロリと忘れ、スポーツに感動してもケロリと忘れ、虚無的に生きようとしても自殺を考えてもケロリと忘れる。
そして、尊敬するという作家に手紙を書いても、全部嘘じゃないかと書いてケロリとする。
手紙を受け取った作家は「気取った苦悩」だといい、「いかなる弁明も成立しない醜態を、君はまだ避けている」と指摘する。
自分の宿命と対峙することを避けているというのだ。
「真の思想は、叡智よりも勇気を必要とする」というのは、色々なことを知るよりも、そのどれか一つに飛びこむことが必要なのだ、と言っているのだろう。
「トカトントン」という短編小説の最後にあるマタイ十章からの引用は、まわりの人々の目を怖れるな、地獄で裁く神を怖れよ、ということであろう。
やはり「きょろり」としているだけでは、駄目なのである。
ちなみに映画『ヴィヨンの妻』は10月10日公開予定。
http://www.villon.jp/
監督・根岸吉太郎、脚本・田中陽造です。