詩人で個人映画作家の鈴木志郎康さんの映画を、集中的に見ている。
特に「映画の弁証」という著書では、鈴木さん自身の個人映画作品と、他の個人映画作家の作品に触れていて、非常に参考になる。
NHKのプロのカメラマンだった鈴木さんには、身のまわりの詩人たちを撮った個人ドキュメンタリーの作品群がある。
正津勉、ねじめ正一、伊藤比呂美、川口晴美、吉増剛造らの他にも、中沢新一のインタビューを撮ったものがある。
鈴木さんの個人映画は、60年代後半の実験映画の流れとは、また別の潮流にあるようだ。
『日没の印象』(1975)は、シネコダックのカメラを買った喜びと、生まれたばかりのお子さんや奥さんを撮ったホームムービー的な要素の強い作品である。
やっと見ることができた『15日間』(1980)は、文字通り、極私的な日記映画であった。
このような試みは、個人がHDビデオで撮影し、家のPCで編集できるようになった現在、個人映画や個人ドキュメンタリーの先駆的な作品として模範とすることができよう。
『15日間』のコメンタリーが、eブックで読める(無料)。
活字化されたコメンタリーが、それ単独で作品として成立しているのは、ジョナス・メカスと鈴木氏くらいかもしれない。
http://www.catnet.ne.jp/f451/15d2.ebk