シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

2010年の洋画ベスト10

johnfante2010-12-30

2010年の海外映画ベスト10



1 『鏡の中のマヤ・デレン』 マルティナ・クドラーチェク
2 『リトアニアの独立とソ連邦の崩壊』 ジョナス・メカス
3 『白いリボン』 ミヒャエル・ハネケ
4 『マクナイーマ』 ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ
5 『ビルマVJ 消された革命』 アンダース・オステルガルド
6 『コロンブス 永遠の海』 マノエル・デ・オリヴェイラ
7 『ゴダール・ソシアリスム』 JLG
8 『フローズン・リバー』 コートニー・ハント
9 『サベイランス』 ジェニファー・リンチ
10 『パリ20区、僕たちのクラス』 ローラン・カンテ



海外映画ワースト



1 『ザ・コーヴ』 ルイ・シホヨス
2 『アバター』 ジェームズ・キャメロン
3 『レギオン』 スコット・スチュワート
4 『パラノーマル・アクティビティ』 オーレン・ペリ
5 『エアベンダー』 ナイト・シャマラン
6 『ハンナ・モンタナ ザ・ムービー』
7 『ブルーノ』 ラリー・チャールズ


今年は忙しかったわりには、けっこう洋画を見ている。
『鏡の中のマヤ・デレン』は素晴らしかった。
特にデレン関連の著書にも見当たらない、ハイチでの関係者のインタビューなどが貴重だ。
一歩も家から出ずに、居間のテレビニュースにカメラを向けるだけで、89〜91年のリトアニアの独立とソ連の崩壊を撮ってしまった個人映画作家ジョナス・メカスに乾杯。
劇映画では『白いリボン』が圧倒的、ドキュメンタリーは『ビルマVJ』の真摯さにうたれた。


ザ・コーヴ』は最低の映画だと思った。
ドキュメンタリー映像には事実性の力があると同時に、制作者の見識によって、いかようにも構成し操作できるものである。
映像の力を利用して、誇大宣伝を生み出し、他者の文化に悪意を突きつけるべきではない。
同様に『アバター』には、西洋人が思い描く先住民へのオリエンタリズムが蔓延しており、それをエンタテインメントとして消費する文化には反吐が出てしまう。
もっと酷い映画もたくさんあると思うが、時間が限られているので観ることはできなかった。
ある程度、期待して観たのに、がっかりさせられた映画をワーストに並べた。