シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

朝日新聞に『辺境のフォークロア』書評

johnfante2015-03-04

朝日新聞2/15付けの読書欄に、『辺境のフォークロア』の書評が掲載されました。
下記で全文を読むことができます。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2015021500008.html



本書がとらえる「異なる言語や文化が接触する辺境」とは戦前の日本の委任統治領などを指す。その範囲はサハリン島からアイヌの北海道、家の神オシラ様の東北、奄美琉球弧、小笠原から「南洋」群島までと広い。当時の「文明国」日本の学者や芸術家は、辺境に暮らす多彩な異民族をどう認識していたのか。著者は1974年生まれの映像作家・民族誌家で、ソクーロフネフスキー、鈴木経勲や松岡静雄、北原白秋土方久功らの作品や文献から彼らの足跡をたどり、辺境の思想を論考する。「未開」「異国」への偏見を排した現代的まなざしと共感を通して、柳田国男を意識した「ポスト民俗学的」領野を切り開こうとの意志が伝わる。