- 出版社/メーカー: デックスエンタテインメント
- 発売日: 2007/04/20
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トビー・フーパーの1976年の映画『悪魔の沼』は、
テキサスの住人の間に伝わる恐怖のフォークロアを元にしている。
親から子供へ、寝物語としてベッドで聞かされ、
キャンプの火を囲みながら青年たちが語り継いできた。
それは、181号線で実際にあった恐怖の館についての物語…
181号線沿いの酒場
テキサス州のエルメンドルフ市の街中から外れた場所。
181号線沿いに酒場「ソーシャブル・イン」はあった。表が酒場で裏には2つの寝室。
酒場にはバーカウンターとテーブル席があり、広いスペースにはピアノが置いてあり、そこでときどき闘鶏が行なわれることもあった。
酒場の経営者はジョー・ボールという帰還兵の男で、街ではうす気味悪い男として知られていた。
酒場の経営はうまく行っていたが、ジョーは何かが足りないと思い、客に相談した。敷地内にアリゲーター(アメリカワニ)を飼ってみてはどうか、というアイデアが出た。
ジョーはそれを気に入り、酒場の横に大きな池を作って3メートルのフェンスで囲った。そして、大きいものを1匹、小さいのを4匹入れた。このワイルドなペットが話題になって、さらに新しい客が来ることが期待された。
アリゲーターの見世物
土曜の夜は、特に忙しかった。
アリゲーターに馬肉の餌をやるところを、ショウとして客に見せることを思いついた。ときにはアライグマ、猫、犬などが、生きたまま池に放り込まれた。
酔った客はそれを見て興奮した。大きなアリゲーターが口を開けて、小動物を噛みちぎり、一呑みにするショウが土曜の夜の定番となった。客のなかには郡の保安官代理もいた。
ペットのアリゲーターに加えて、ジョーは男性の顧客のために、若くてきれいな女の子ばかりを雇い、カウンターのなかに立たせた。女の子の入れ替わりは早かった。
「なかなか定着しなくてね。ウェイトレスより簡単な稼ぎ方を見つけると、すぐに辞めてしまうんだ」とジョーは客たちの前で嘆いてみせた。
映画『悪魔の沼』(原題 Eaten Alive の予告編)
主演ネヴィル・ブランドの演技とは思えない狂気がすばらしい。
ジョーと3人の女性
1934年、ジョーはミニー(Minnie Gotthardt)という女性と知り合った。
彼女は「ビッグ・ミニー」の愛称で呼ばれていた。ジョーの友人たちはミニー(左写真)を嫌ったが、ジョーは酒場を2人で経営しはじめた。2人の関係は3年続いた。
しかし、若いウェイトレスのドロレス(Dolores Goodwin)がジョーと恋に落ちて、関係を持つようになった。
22歳のヘイゼル(Hazel Brown)が酒場で働くようになったとき、事態はさらに複雑になった。ジョーは自分の酒場で働く、3人の女性の間でバランスを取らなくてはならなくなった。
37年の夏、ミニーが失踪したことで問題は解決した。
ミニーの友人や家族が問い合わせると、ジョーは「黒人との間にできた子供を産むために街を離れた」と説明した。数ヵ月後、ジョーはドロレスと3回目の結婚をした。
そして「本当はミニーを浜辺に連れていって、頭を銃で撃ち、砂のなかに埋めたんだ」と告白した。
しかし、ドロレスはジョーの話を信じず、2人の間では二度とその話を持ち上がらなかった。
(金子遊)