シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

「悪魔の沼」 ジョー・ボール ③

johnfante2007-08-13

アメリカ・アリゲーターの沼 [DVD]

アメリカ・アリゲーターの沼 [DVD]


ジョーの妻の証言


ジョーの妻であったドロレスが、カリフォルニア州のサン・ディエゴで生きていることが判明。
ドロレスはひどく怯えていた。ジョーはウェイトレスを次々と殺し、アリゲーターの餌にしていたのだという。
次は自分かも知れないと思うと怖くなり、命からがら逃げ出したのだった。


ドロレスの証言により、ジョーには共犯者がいることが明らかに。店の雑役夫のクリフォード・ホイーラー(Clifton Wheeler)である。
グレイ保安官と相棒は、ジョーの手下で何でも屋のクリフトンをサン・アントニオ署に連れ帰り、徹底的に尋問した。最初は失踪事件との関わりを否定していたクリフトンも、しまいにはすべてを話すようになった。


ジョーが付き合っていたヘイゼル・ブラウンは、他の男と恋に落ちて、引っ越して新しい生活をはじめることを考えていた。
ジョーはこの件で怒り狂って、ヘイゼル殺しを行なったというのである。
グレイ保安官は「その話が、本当かどうか確証がほしいので、ジョーがヘイゼルの死体を処分した場所に連れて行け」と言った。


遺体遺棄現場


翌日、クリフトンは捜査官をその場所へ連れて行った。
街中から3マイルほどのところで、サン・アントニオ河の近くだった。クリフトンは柔らかくなっている地面を掘り出した。2、3分後、土のなかから血がじくじくと染み出してきて、ものすごい臭気をあたりへ振りまきはじめた。
クリフトンは地面から2本の腕と、2本の足、それに胴体をひっぱりだした。
「頭部はどこにあるのか」と保安官がいうと、クリフトンはキャンプファイアの焼け跡を指さした。
そこで保安官は、顎の骨の一部と歯、それに頭蓋骨のかけらを見つけた。それらはすべてヘイゼルのものだった。


アリゲーター [DVD]


その夜、クリフトンはジョーを手伝った。
2人はドラム缶をジョーの妹の家で積み込み、ジョーの車で川辺まで走った。深い穴を掘らされたので、クリフトンは文句を言った。
それからドラム缶を開けて、ヘイゼルの死体を出した。クリフトンが嫌がるとジョーは自分で死体をバラバラにしていったが、クリフトンに押えるように強制した。
そして死体を穴に埋めて、頭部をキャンプファイアで焼いたのだった。


ミニーの件についても自白した。
ジョーは車でミニーをコープス・クリスチの近くの寂しい浜辺へ連れ出した。酒をしこたま飲んだ後、ジョーはミニーのこめかみを撃ち抜いた。
ミニーは妊娠していて、ジョーはドロレスとの関係を中断したくなかったのでやった、とクリフトンは証言している。そして2人の男は死体を埋めて、酒場へ戻ったのだ。


エピローグ


10月14日、警察はその場所で、ミニーの死体の一部を砂のなかで発見した。
そのほかの失踪に関しては、クリフトンは関与を否定した。ジョーの酒場から、12名の女性の写真が集められたスクラップ・ブックが発見された。
しかし、その他の殺人との関係は証明されていない。
また1人の行方不明者の女性の生存がアリゾナでも確認された。


パニック・アリゲーター~悪魔の棲む沼~ [DVD]


アリゲーターの池で発見された腐りかけの肉は、目撃者の証言によれば人肉ということだったが、それが誰のものかは分からなかった。
州警察はジョーが少なくとも5名から10数名を殺し、死体の処分方法としてアリゲーターのいる池を使ったのだと結論づけた。
39年にクリフトンは死体遺棄の罪で有罪になり、2年間を刑務所で過ごし、釈放後は地元で酒場を開いた。しかし、悪評のせいで商売はうまく行かず、その地域から姿を消した。
ジョーの5匹のアリゲーターテキサス州に没収され、サン・アントニオ動物園に寄付された。そして残りの生を、観光客を喜ばせるために費やした


ジョー・ボールの名前はその後も広まり続け、「エレメンドルフの肉屋」や「アリゲーター男」の話として、テキサスの人を怖がらせるために語り継がれている。