シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

TAXi

johnfante2007-09-28


リュック・ベッソンが製作・脚本を担当と聞いて、本作が『レオン』や『フィフス・エレメント』している映画だと思ったら大間違い。
つまり、カンペキにこれはフランス映画なのだ。
最近は16歳未満のガキのために映画作りをしていたベッソン
魂を売り、ハリウッドで商業的な成功をおさめた彼がフランスに凱旋。
本国で好きな企画をやらかそうとしたのが、大人のためのカー・アクション映画『TAXi』シリーズなのであった。


公開中の「TAXi4」の予告編


ストーリーはあってないようなもの。
改造プジョー406のタクシーが、時速250キロで疾走するという、ベッソンが長い間あたためていたアイデアで勝負だ。スピード狂のタクシー運転手ダニエルは、ひょんなことから新米刑事エミリアンを車に乗せる。
エミリアンが刑事だとは知らずにスピード違反を自慢するダニエルは、運転免許を剥奪される代わりに、赤いベンツに乗ったドイツ人強盗団<メルセデス>逮捕に協力するはめになる、というのが第1作のあらすじだった。
IAMのヒップホップ音楽をバックに、マルセイユの街をプジョーとベンツが猛スピードでカー・チェイスを繰り広げていく姿が生理的に心地よい。


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監督は元レーサーのジェラール・ピレス
プジョーをはじめ車のCFを数多く手がける、凝り凝りのカーマニア。
女性を触るような手つきで、キャメラが車の肢体をなめまわす。
ドラマ部の薄っぺらさに比べ、カー・チェイスのエロティックさには膝もがくがくする。
撮影現場にはヤン・クーネンやマチュー・カソヴィッツも駆けつけた。
芸術派が主流で仏映画界も長年低迷していたが、ようやくフランスならではのR指定なアクション映画のシリーズが登場したのであった。


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初出:「週刊SPA!」