パレスチナ映画 ①
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『ブラック・サンデー』
パレスチナ映画が続々と公開される。
パレスチナ人と聞いても、思い浮かぶのは『トゥルー・ライズ』の核武装した原理主義者や、『マーシャル・ロー』でNYの街を連続爆破するテロリストなど凶悪犯ばかり。
パレスチナ人=テロリストの偏見を利用した映画は、70年代の『ブラック・サンデー』あたりが最初だろう。
女性ゲリラがスーパーボウルの観客八万人と米大統領に対し、飛行船で自爆攻撃をしかけるというぶっ飛んだ内容だった。
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『ブラック・サンデー』では「黒い九月」という過激派が事件を起こすのだが、これは実在のグループで、『ミュンヘン』でオリンピック村のイスラエル選手を人質に取るのと同じ集団だ。
スピルバーグは、次々にこのメンバーを暗殺するモサド側の残酷さを描き、イスラエルのテロ対策への批判にうまく結びつけた。
しかし、『ミュンヘン』は公開前からイスラエル側に抗議され、アカデミー賞でも作品賞を逸してしまった。
『パラダイス・ナウ』
外国映画部門にノミネートされた『パラダイス・ナウ』も、テロの被害にあったイスラエル人遺族の猛反発を受けた。
自爆テロを試みるパレスチナ人が、恋愛や貧困や家族との関係に悩む姿を描く超問題作だ。
イスラムの狂信者ではない普通の青年が、朝起きてテルアビブに行き、街中で自身を爆弾で吹き飛ばす決断がなぜできるのか?
パレスチナ人の監督や俳優の手により、彼らが追いこまれた現状が明らかにされる。彼らを人間ではなく凶悪なテロリストとして一面的に描くやり方は、この映画の後では難しくなるだろう。
『パラダイス・ナウ』予告編
イスラエルで強硬派の新党が選挙に勝利し、パレスチナで武装闘争路線のハマスが与党に選ばれた現在、『パラダイス・ナウ』は世界中で大論争を巻き起こしている。
自爆テロに成功するのはサイードという青年だが、3年前に逝去した思想家を巡る『エドワード・サイード OUT OF PLACE』も公開される。今だからこそ、二民族一国家の標語を掲げ、両者の和解と共生を夢みたサイードのメッセージが痛切に響く。
同じく記録映画で、十七年かけてガザ地区の難民キャンプを撮った『ガーダ パレスチナの詩』は、一人の進歩的なパレスチナ人女性が自分のルーツに目覚めるまでを追う。デジタルカメラで撮影された彼女の素顔は、ハリウッド映画のテロリストの姿からはあまりにもかけ離れているのだ。
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初出:「週刊SPA!」