パレスチナ映画　② - シネマの舞台裏２

johnfante2008-02-16

『ブラック・サンデー』（77年）監督／ジョン・フランケンハイマー
原作は『羊たちの沈黙』のトマス・ハリス。黒い九月とイスラエル特殊部隊の攻防を描く大人のエンターテインメント。当時、過激派の脅迫電話により日本公開が中止された

『ヒア＆ゼア　こことよそ』（75年）監督／ジャン＝リュック・ゴダール
パレスチナ解放運動についてのゴダール流ドキュメンタリー。ＴＶを見るフランスの家族がいる場所（ここ）と、パレスチナ革命の映像（よそ）の間に横たわる溝を考察する

『ブラック・セプテンバー　ミュンヘン・テロ事件の真実』（99年）監督／ケヴィン・マクドナルド
黒い九月による五輪テロを検証したドキュメンタリー。実行犯へのインタビューが生々しい。『ミュンヘン』で描かれなかった、解決を急いだドイツ当局の不手際の詳細がわかる

『ニュースタイム／モーゼからの権利証書』（01年）監督／アッザ・エル・ハサン
紛争の中心地ラマラ。女性監督が市民の日常を撮ろうとするが、ニュース報道に忙しくてスタッフも誰も相手にしてくれない。そこで空き地にいた少年たちにカメラを向けるが…

『アワー・ミュージック』（04年）監督／ジャン＝リュック・ゴダール
ゴダール自ら出演し、切返しショットの映画手法を例にイスラエルとパレスチナの対立について講義するが、これはラストで主人公が自爆テロに間違われて射殺される伏線である

『ガーダ　―パレスチナの詩―』（05年）監督／古居みずえ
男性社会の古い慣習が残るパレスチナで、女性たちがカメラの前に立ち、発言し、生活する姿を撮った貴重な映像記録。どこにでも入り込めるデジカメの特性が生かされている

『エドワード・サイード OUT OF PLACE』（05年）監督／佐藤真　音楽／ダニエル・バレンボイムほか
『阿賀に生きる』で知られるドキュメンタリー映画作家・佐藤真が完成させた渾身のロードムービー。みすず書房から発売中の同名の本は、サイードの入門書としても手ごろだ

『バッシング』（06年）監督／小林政広
イラク邦人人質事件で帰国後に大バッシングを受けた、ボランティア活動家の高遠菜穂子をモデルにした劇映画。事件後、再び中東へ戻っていく女性の心の動きを繊細に描く