シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

ペレ ①

johnfante2009-03-25

ペレ自伝

ペレ自伝


サッカーのキング


自伝の出版と映画のDVD化で、サッカーの王様ペレに注目が集まっている。
ペレは58年に17歳でW杯に出場してから、ブラジルを三度世界の頂点に導いた。
171センチの小柄な体から創造的なプレーをくり出し、世界中にサッカーを美しいスポーツだと印象づけた。


生涯で1281得点をあげた攻撃的スタイルは、現代でもロナウドロナウジーニョらに継承されている。
と、その功績をあげたらキリがないが、いま話題になっているのは、メディアに翻弄され続けた世界的スターの素顔と「ペレ」という社会現象の方である。


ペレ自伝


『ペレ自伝』によれば彼は本名をエドソンといい、ペレというあだ名は幼年期に好きだった選手のビレを訛りで「ペレ」と言い違えたことに由来する。
この逸話からもわかるが、彼は数代前まで奴隷だった黒人家系の出身で、十代の頃はチーム内でクリオーロ(黒人)と呼ばれていた。
そんな少年が16歳でサントスFCからプロデビューを果たし、一年後にブラジルをW杯優勝に導いたサクセスストーリーが人々を熱狂させたのだ。


また、ペレはメディアの力でスターに押し上げられ、社会現象となった最初のサッカー選手でもあった。
W杯のテレビ中継が始まったのは54年のスイス大会であり、これはペレが活躍した56年から77年という時期と重なる。
本人もメディア露出を好む映画好きで、80年代に『勝利への脱出』や『炎のストライカー』などのハリウッド映画で俳優として活躍した。



ペレが映画出演した『勝利への脱出』