露西亜文学
昨年、井筒俊彦の『露西亜文学』が復刊されことは嬉しかった。
コーランの翻訳や『意識と本質』などの宗教論的な著作がある一方で、このように文学の文章もある。
中公文庫に入っていた『ロシア的人間』も読んだことがあった。
ペテルブルグに都を打ち立てて、ヨーロッパに対峙しようとしたピョートル大帝。
その精神から、近代ロシア文学の源流を掘り起こすところが見事としか言いようがない。
世界観としてのロシアの共産主義が、その起源においてはユダヤ的であり、終末論的であるという指摘。
突然現れた天才としてのプーシキンの詩と、ロシアの大地や自然の関係。
いま書いている評論とも交錯していて、多くの示唆を受けたのでした。