シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

アルヴィン・ストレイト ②

johnfante2008-04-07

the straight story ストレイト・ストーリー

the straight story ストレイト・ストーリー


右写真は映画の中でアルヴィンを演じるリチャード・ファーンズワース

芝刈り機で旅へ


そこで、アルヴィンは一計を案じた。
普段、庭で乗っているお気に入りの芝刈り機で旅に出ようというのだ。
芝刈り機は背もたれのない座席に、丸いハンドルがついただけの簡易なもの。
娘のローズは大反対して何とか思い止まらせようとした。
アルヴィンの友人たちは不可能だと鼻で笑ったが、アルヴィンは着々と改造をしていった。


溶接機を引っ張り出してきて、芝刈り機と農作業用の10フィートの長さのトレーラーを繋げるようにした。
そこへガソリン、洋服、食物、キャンプ用具を載せた。
しかし、無理な連続運転をしたので、この芝刈り機は出発後すぐに故障してしまった。アルヴィンは一旦、ローレンスまで戻ってくるしかなかった。


再挑戦


しかし、一度決めたことは真っ当しないと気が済まないアルヴィンは、知人から1966年式のジョン・ディア社(John Deere)製の芝刈り機を買うことにした。
そして、再度、後ろに10フィートのトレーラーを引っ張れるように繋いだ。
アルヴィンは1994年の7月5日に家を出て、長いドライブをはじめた。


芝刈り機にトレーラーを繋いだので、最速でも時速5マイル(約8キロ)のスピードでしか進めない。
トウモロコシや麦の畑が延々と続く、アメリカの田舎の風景のなかを芝刈り機は進んでいった。
こうしてアルヴィンはたった1人で、芝刈り機に乗り、アイオワ州の北部からウィスコンシン州の南西部まで240マイルの道のりを目指すことになったのだ。
病気で倒れた80歳の兄・ヘンリーに会うために。


路上にて


最初の3日間は順調そのものだった。
彼は18号線に沿って、裏の細い道路を走っていくことにした。
広い道を走るのはさすがに危険であったし、時速5マイルのノロノロ運転なので、何よりも普通の自動車やトラックに邪魔にされたのだ。
そして、4日目に再びアクシデントが起こった。


下り坂に入ったとき、トレーラーの重みで押されて芝刈り機が暴走し、もの凄いスピードが出て、芝刈り機のエンジンが故障してしまったのだ。
ウェストベンドという場所で、彼が出発したローレンスから21マイルの地点だった。
彼はコンデンサー、プラグ、発電機とスターターを交換し、修理するめに、約250ドルを費やさす羽目になってしまった。