シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

アルカトラズからの脱出 ①

johnfante2008-02-26

アルカトラズからの脱出 [DVD]

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今回はクリント・イーストウッド主演の映画『アルカトラズの脱出』('79)の元になった実話です。

アルカトラズ連邦刑務所


アルカトラズ島は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンフランシスコ湾内にある面積0.076kmの断崖の小島。
別名「ザ・ロック」と呼ばれる岩礁でてきた島で、「監獄島」とも呼ばれている。
この島には、脱出不可能と言われたアルカトラズ連邦刑務所があった。


1934年7月1日、この孤島にアルカトラズ連邦刑務所が開設された。アルカトラズには、全米から矯正不可能とみなされた凶悪犯ばかりが集められた。
シカゴのゴッドファーザーであるアル・カポネ、誘拐・強盗・殺人犯のアルヴィン・カーピス、マシンガンをぶっ放した銀行強盗ジョージ・ケリーなど、名前を聞いただけで身がすくむような無法者ばかり。
当時200人ほどいた囚人のうち、50〜80人は脱獄を企んでいたとも言われている。
囚人たちは対岸にあるサンフランシスコの街を眺めて、いつも脱出の夢を見ていた。



映画『アルカトラズからの脱出』予告編

脱獄の成功率は0%


この刑務所は、囚人たちの肉体、精神を打ち砕くために作られており、囚人たちからは「この世の地獄」と恐れられていた。
コンクリートで固められた壁、8本の鉄筋を束ねた鉄格子、厚さ8cmの鉄の扉、至るところにある見張り台では、常に警備員がライフルを構えている。
2キロメートル先のサンフランシスコは、泳ぎの達者なものならば30分で泳げる距離。
しかし、実際は人が泳ぐのは不可能。
島を囲む海は平均水温は12℃と低い。
海流は時速13kmと非常に早い。
周辺は海のうねりが激しく、潮流がある。
そのため、島からの脱出はほぼ不可能とされていた。


アルカトラズからでは設立以来、閉鎖されるまで39人が脱出を試みた。
そのうち再逮捕者が26人、射殺7人、溺死1人、行方不明5人(公式には死亡だが遺体は未発見)という結果である。つまり、脱獄に成功したものは1人もいない。
1939年には、全米を震え上がらせたギャング団の一味のドック・バーカーが、1943年にはボニー&クライドの一味のフロイド・ハミルトンが脱獄にチャレンジした。
だが、どちらも失敗に終わった。
また、1946年にはバーナード・コイという男が、軍隊まで巻き込んでの大銃撃戦を演じ、自由まであと一歩のところで手榴弾で爆死した。