人間計算機 ②

アスペルガーの偉人たち

科学者ＶＳ超人

カナダのディスカバリー・チャンネルが製作した「The Real Superhumans」という番組のなかで、ガムはアラン・スナイダー（Allan Snyder）という科学者によってテストされ、検証されている。
スナイダー博士は、ガムの能力はサヴァン症候群によるものと考えていた。

オーストラリアのアラン・スナイダー博士は、国際的にもその功績を認められている科学者である。
世界で唯一の心理研究センター（Centre For The Mind）の設立者の１人であり、オーストラリア国立大学とシドニー大学で教鞭をとる大学教授である。
スナイダー博士の専門分野は、脳の損傷などの理由により、突然、驚異的な学習能力などを発揮する稀な人たちの研究。
スナイダー博士は当初、ガムの神秘的な能力を、シンプルにサヴァン症候群で説明しようとしていた。
そして、それを証明するために、さまざまな検査を実施したいと考えていた。

人間計算機の反論

しかし、ガムはスナイダー博士の考えが間違っていると主張し、そのことを反対に逆証明しようと考えていた。
こうして、2人の対決がはじまった。
ガムは「人間という種が、驚異的な能力を持つ個人が数多く存在し、それは研究をつくした科学者さえも驚かせる内容ものだ」と考えている。

そして、そのような潜在的に秘められた能力があることを理解しなければ、人間という種を知ったことにはならない、という。
ガムによれば、彼がやることは訓練さえすれば、誰でもできるようになるものだという。
「ただ数値や数式の表をたくさん覚える必要があるだけです。そうすれば、原理的には誰にだってできるはずなんです。私はサヴァンとは関係ありません」

スナイダー博士のテスト

スナイダー博士は、ガムの能力を「潜在的なサヴァン」と名づけることで、簡単に解明できると考えていた。
「それは神秘的に見えますが、一種の丸暗記術によるトリックです。」
ガムはシドニーに呼ばれ、サヴァンかどうかのテストを受けることになった。
１つ目はスクリーンに現れたドットの数を瞬時に当てること。サヴァンであれば、大抵正しく言い当てることができる。
ガムは見事に言い当てた。

スナイダー博士は、彼がサヴァンだと確信を強めた。
次は２枚の写真（オリジナルとそれを変えたもの）を一瞬ずつ見せて、瞬時にその違いを言うテスト。
しかし、サヴァンは答えられるところを、ガムは答えられなかった。
スナイダー博士は困惑した。
最後のテストで結果を見るしかなかった。