シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

パラノーマル・アクティビティ

johnfante2010-01-13

1月30日より公開される『パラノーマル・アクティビティ』を観ました。



パラノーマル・アクティビティ』予告編(英語版)


デイ・トレーダーの男性とその彼女が住んでいる広い家。その家に、夜な夜な何やら不思議な物音や、奇怪な現象が起きている。
男はその様子の証拠を手に入れようと、ビデオカメラで撮影をはじめる。しかし、実は家のせいではなく、以前より彼女は霊的な出来事に悩まされていたことが明らかに。
はたして、彼女の精神異常の問題なのか、それとも実際に何かが家にいるのか…。



ブレア・ウィッチ・プロジェクト』から10年ぶり、超低予算ホラーのヒット作。
友人や霊的現象の研究者なども一部登場するが、登場人物は基本的に2人だけ。
すべて制作した監督の広い家で撮影されており、約135万円で完成されたということだ。
いわゆるモキュメンタリー(偽ドキュメンタリー)なのだが、とにかくこれを観ると夢が広がる。



タランティーノや『ソウ』シリーズのジェームズ・ワンの時代までは、ハリウッドへ脚本を持ち込み一発当てるか、低予算でもインディーズで映画をつくり上げなくてはならなかった。
この映画以降は、HDカメラと自分ですごいと信じられる脚本さえあれば、撮影から編集まで自分の家で完成できる。
イデアとカメラ1台で、全米興行収入NO.1を目指せる時代になったのだ。


それにしても、何の要素がここまで観客と画面の一体感を高めているのだろう。
ビデオカメラで撮られた映像だから身近に感じるのか、夜に眠っている間に何かが忍び寄るという仕掛けが、誰しもが持つ生理的な恐怖感に届いたのか。
ほとんどが撮影者の主観ショットで撮られていることも、影響しているのだろう。
現在は、映画のメディアがフィルムからHDカメラの映像へと移行していく過渡期なのだが、少し立ち止まってビデオカメラというメディアの特性をもう一度、再考してみたくなった。