シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

ドクター・デス ①

johnfante2006-09-25

Harold Shipman - Prescription For Murder: The true story of Dr Harold Frederick Shipman

Harold Shipman - Prescription For Murder: The true story of Dr Harold Frederick Shipman



患者200人を殺害した医師

舞台はイングランド北西部のグレイター・マンチェスター州にある、ハイドという静かで小さな町である。
人口はたったの3万6千人。
1998年9月7日、そこで開業医をしていた評判のいい医師ハロルド・シップマンが、自分の患者を殺害していた容疑で逮捕された。


その20年前に、処方箋を偽造して薬物を着服した前科があった。
殺害の動機が裁判でも不明で、シップマンは無実を主張していたが、裁判の結果15人の患者殺しが確定し、イギリスでは死刑制度が廃止されているため、終身刑の判決を受けた。
それで、この凶悪犯罪事件は一時の終息を得たかのように見えた。しかし、その後、この事件は異様な空気をまとうようになる。




ハロルド・シップマン

http://youtube.com/watch?v=LkaQtVqKkXE


(↑上はかなりチープな再現ビデオ)


2002年7月19日、政府が公式発表で、事件の被害者が最低でも215人はいると発表したのである。
調査を指揮した高等裁判所の判事ジャネット・スミス氏(Dame Janet Smith)は、これらの余罪に関して「裁判が行われる可能性は低い」と述べた。
警察は、シップマンのクリニックで診察を受けていて死亡した、493人の患者の病歴を精査した。
そのうち、明らかに自然死と見られる患者は210人しかいなかった。


残りのうち38人は、死亡時期が古いことと病歴に複合的な要素が見られ、自然死かどうか判定不能とされた。
そうして篩いにかけられ割り出された、シップマンが殺害したとみられる215人のうち、女性は171人で男性44人、被害者の年齢は47から93歳にまで渡っていた。


いったい、このような世界一とんでもない医師は、どのようにして生まれてしまったのか。