ゴールデン・マン (ハヤカワ文庫 SF テ 1-18 ディック傑作集)
- 作者: フィリップ K.ディック,Rey.Hori,浅倉久志,友枝康子,小川隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/03/07
- メディア: 文庫
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4月公開の映画「NEXT -ネクスト-」は、フィリップ・K・ディックの短編小説「ゴールデン・マン」が原作。
ディックは1928年シカゴ生れのSF作家。邦訳された著書は30冊以上。
特に「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」はLSD感覚全開の超問題作。
ディックと映画
2007年はまちがいなく、没後25年をむかえたフィリップ・K・ディックの映画イヤーだった。
『マイノリティ・リポート』などの原作で知られる、最も映画化されてきたSF作家だ。
2008年にはテリー・ギリアム監督がディックの伝記映画を準備中らしく、ディック原作の『NEXT』も公開され、リドリー・スコット監督は『ブレードランナー』のファイナルカット版を発表する予定…。
と、お決まりの説明をすませたところで、いきなり大声で問うてみたい。
管理社会や全体主義ばかり描く、それまでのSF小説の科学万能観をぶち壊し、60年以降のディックが次々と暗沌としたディストピアな未来社会像を提出したのはなぜなのか?
時代が進みテクノロジーが発達しても、個人の内面で現実はどんどん生きにくいものになる、というディックの着想は、のちに『AKIRA』や『攻殻機動隊』などのコミックにも継承されたからだ。
ディックの麻薬体験
ディック原作の『トータル・リコール』や『ペイチェック』では記憶操作のテクノロジーにより、現実と模造記憶の区別がつかなくなる個人の不安が描かれる。
また、『ブレードランナー』や『スクリーマーズ』をみると、人間と酷似したニセモノを作る技術革新の果てに待ちうける、人々のアイデンティティの崩壊がテーマである。
SF映画だから問題なくみれるが、自分の身におこったら不幸なことこの上ない。
ほとんど精神分裂病の状態だ。
実は、アメリカ西海岸のドラッグ文化の洗礼をうけたディックは、長年執筆のためにアンフェタミンを乱用し、しまいには妻子の出ていった自宅は麻薬常用者のたまり場になり、そのあと自殺未遂も試みた。
「現実と幻覚」「本物と模造」の区別がつかない不安な未来社会のイメージには、60〜70年代を生きたディックの個人的体験が反映されている。
映画『NEXT ネクスト』予告編
ディック原作の映画
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デッカードがレプリカントであるかどうかは長年の謎。
監督/リドリー・スコット 出演/ルトガー・ハウアー他
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監督/ポール・バーホーベン 出演/アーノルド・シュワルツネッガー、シャロン・ストーン他
『バルジョーで行こう』(’92)
普通小説「戦争が終わり、世界の終わりが始まった」の映画化。
監督/ジェローム・ボワヴァン 出演/リシャール・ボーランジェ他(未ソフト化)。
87年の『ディックの奇妙な日々』はSF作家の精神崩壊を描くディックのモデル映画だ