死体解剖医ヤーノシュ
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- 発売日: 2002/02/22
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死体解剖のドキュメンタリー
たしか公開時は『エデンへの道』(原題 der weg nach eden /ロバート・エイドリアン・ペヨ監督/ベルギー)だったと思うが、『死体解剖医ヤーノシュ』を観た。
ある解剖医の日常を淡々と追ったドキュメンタリー映画だった。
この映画のなにがすごいって、解剖シーンのすべてを全く包み隠さずに見せてしまうのだ。
首筋に出刃包丁で線をいれて、解剖医がえいっと引っ張ると、頭の皮がマスクを脱ぐときみたいにきれいに剥がれる。
そして電ノコで頭骸骨を切り放し、美しい脳みそをまるまる取り出す。
そう、検屍解剖のシーンだ。
霊魂を信じること
カメラは正面から、その神々しいまでの挙動を捉えつづける。
映画を観つづけていると解剖医が肉屋に、人間の死体が豚肉の塊に見えてくるから不思議だ。
そうだ、人間の身体などは豚のモツとなんら変わるものではなかったのだ。
それにしても本当に恐ろしいのは解剖シーンではなくて、この解剖医が独り語りをするシーンであろう。
人間の死体をバラバラに切り刻むという仕事を持つ彼は、肉体の秘密のすべてを知っている。
人間が肉の塊にすぎないということを知っているからこそ、彼は霊魂の存在を信じるのだと云う。
この唯物主義の極限を見てきたような人だけが、まったく宗教的ではない魂の救済の可能性を知っているのかもしれない。