詩とアートの雑誌「TOLTA」の3号を献呈いただく。
まずは、その製本のクオリティの高さに驚く。
立体的なつくりになった表紙と裏表紙で手作りの良さを出しつつも、
デザインは建築雑誌か変形の写真集といった凝った趣向。
それでいて、雑誌の中身としては充実の132ページといった頁数である。
ブラジルの北東部で売られる「紐の文学」Literatura de Cordelのことを連想する。
市場や屋台などで紐にぶら下げられて、売られている小冊子のことだ。
内容は、この地方につたわる伝説や口承文学がおさめられている。
TOLTAのような雑誌は、紐にぶら下げて売られたらカワイイかもしれない。
「TOLTA」の公式ブログはコチラです。http://tolta.blog81.fc2.com/
TOLTAとは
公式ブログによれば…
「TOLTA(トルタ)は現代詩人を主要メンバーとするヴァーバル・アート・ユニットです。
ヴァーバル・アート(verbal art)とは、ことばによる/ことばに関する芸術全般を意味します。
TOLTAはことばを使うジャンルの全域を横断し接合します。
活動:自主制作誌「TOLTA」の発行(作品集、刊行年1回。トルタメンバー+ゲストの執筆による詩・戯曲・小説など)不定期で増刊号、フリーペーパーを発行、その他イベント企画なども」
とある。
同人誌や文芸誌と少しちがうようだ。
今回のTOLTA3号については…
「今回販売いたします「TOLTA3号」ですが、価格はぴったり1000円で、特集「山の思い出」(ゲストとメンバー全員によるエッセイ)から、詩、短編小説、論考、戯曲、コラムエッセイ、TOLTA3マップなどがお楽しみいただけます。
執筆メンバーとしては、これまでのオリジナルメンバー(河野聡子、山田亮太、南谷奉良)に加えて、以下のゲストをお招きして執筆して頂きました。
黒川陽子(日本劇作家協会第13回新人戯曲賞受賞作家)佐次田哲(自動詩作プログラムを研究中)福田純子(旧名大木潤子、名作『鳩子ひとりがたり』の作者)文月悠光(2008年の現代詩手帖賞詩人)」
気になる内容
「トルタ山」特集から読みはじめ、メインである各詩人の詩から読む。
佐次田氏の「計算機による自動詩作のススメ」が気になる。
ここに掲載されている詩作は、実際にアルゴリズムでつくったものなのか。
それとも、この文章自体が一遍の創作品なのか。
アルゴリズムの一部でも掲載すれば、そのあたりが明確になるかとも思う。
あと気になったのは、山田氏の「尾形亀之助ではない」という戯曲。
詩人の正津勉さんが書いた『小説 尾形亀之助』を思い出した。
TOLTAメンバーの河野氏は「詩と羅列」「朗読について」などのコラムというか、エッセイがうまい人だなという印象。
欲をいえば、雑誌としての広がりを持たせるために、詩の批評や映画についての文章などもほしいところ。
とはいえ、TOLTAはこれからが楽しみなアート・ユニットのひとつである。