渦巻ける烏の群 ①
- 作者: 黒島伝治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1953/01
- メディア: 文庫
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右写真は、小豆島にある黒島伝冶の文学碑
「一粒の砂の 千分の一の大きさは世界の 大きさである」
プロレタリア文学
プロレタリア文学には、長い年月の評価に耐えるものと耐えないものとがある。
直截的に政治を主題にしたり、階級闘争的な観点から労働者を主要人物に据えた小説の耐用年数が短いのに対し、黒島伝冶の「農村もの」や農民小説(「電報」「豚群」など)は独特のリアリズムとユーモアを兼ね備えていて今でも読めるものだ。
「渦巻ける烏の群」の入った短編集が岩波文庫にあることからも、読み継がれていることがわかるだろう。
黒島伝治は1919年、23歳のときに早稲田大学の高等予科へ入学したが、徴兵されて衛生兵として入隊し、東部シベリアの陸軍病院に派遣された。
このシベリア出兵はロシアの十月革命に干渉するために行われたもので、1918年から1925年の間に総勢7万3千人の兵力が送り込まれた。
日本はシベリアの反革命勢力と手を結んだが、労働者や農民で組織されたパルチザンの激しい抵抗にあった。