シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

2010-01-01から1年間の記事一覧

『人生の道〜ミリオナリオとジョゼ・リコ』

来日中のネルソン・ペレイラ・ドス・サントスの映画『人生の道〜ミリオナリオとジョゼ・リコ』(81)を観た。 実在するフォーク・デュオ、ミリオナリオとジョゼ・リコが成功するまでの過程を、本人たちの音楽を使い、本人たちが出演している。 この2人のずっ…

高見順賞記念イベント

“孤絶-角”作者: 岸田将幸出版社/メーカー: 思潮社発売日: 2009/12メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (7件) を見る 詩人の岸田将幸さんが『〈孤絶 - 角〉』という詩集で、第40回高見順賞を受賞しました。 その受賞を記念した朗読・トーク…

『Lettre de Sibérie 』 クリス・マルケル

『Lettre de Sibérie』(1958) ずっと観たかったクリス・マルケルの『シベリアからの手紙』(未ソフト化)をようやく観ることが出来た。 海外版DVDの発売が進んでおり、クリス・マルケルの映画が大分観られるようになってきた。 youtubeにも、マルケルの…

ただいま、それぞれの居場所

現在、ポレポレ東中野で公開中の介護ドキュメンタリー『ただいま それぞれの居場所』。 映芸ダイアリーの若木氏が素晴らしい映画評を書いています。 http://eigageijutsu.com/article/145782437.html 『ただいま それぞれの居場所』予告編 また5月22日より『…

「現代映画とアメリカの複数性」

映画芸術 2010年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 編集プロダクション映芸発売日: 2010/04/30メディア: 雑誌 クリック: 20回この商品を含むブログ (4件) を見る 現在、発売中の『映画芸術』2010年5月号にて、「現代映画とアメリカの複数性」という論考を書き…

『ザ・コーヴ』 ルイ・シホヨス

『ザ・コーヴ』予告編 イルカ漁告発映画 年に1回、9月に和歌山県太地町で行われるイルカ漁を批判的に撮った、ルイ・シホヨス監督のドキュメンタリー『ザ・コーヴ』を見た。 この映画は、2010年3月の米アカデミー賞でドキュメンタリー賞を受賞したが、国内の…

断腸亭日乗 ①

岩波文庫の摘録で『断腸亭日乗』(永井荷風)を読み継いでいる。 これを読んでいると、日記と日誌の違いは何であろうと考えてしまう。 「大辞林」「大辞泉」などの辞書によれば、「日記」が個人的な毎日の記録であるのに対し、「日誌」はより業務的な内容の…

『ベオグラード1999』@アップリンク

新右翼・一水会 初のドキュメンタリー 『ベオグラード1999』上映会&トーク 2010年4月27日(火) に、新右翼・一水会を撮った初めてのドキュメンタリー 『ベオグラード1999』の上映会&トークがあります。 場所は、渋谷のアップリンク・ファクトリー…

『One Shot One Kill 兵士になるということ』

藤本幸久ら森の映画社によるドキュメンタリー『One Shot One Kill 兵士になるということ』が東京他で公開されている。 アメリカのサウスカロライナ州のブートキャンプ(新兵訓練所)における、3週間の新兵訓練の模様を記録した映画である。 藤本作品は丹念…

『狂犬ジョニー』 エマニュエル・ドンガラ

近々公開される西アフリカのリベリアを舞台にした『ジョニー・マッド・ドッグ』の映画評を書いたのだが、むしろ興味は原作者のエマニュエル・ドンガラの方へ行っている。 原作はコンゴ内戦が舞台となっているのだが、フランスの映画製作者たちは舞台をリベリ…

『大洪水』 中村達哉

舞踏家・中村達哉が主演している『大洪水』(演出:山下残)が11日まで、横浜のSTスポットで公演中です。 前売りは完売で、当日券のみの販売となっている様子です。 以前、彼のパフォーマンス演劇を東京グローブ座に見に行ったときも満員で、桟敷席だった…

『札幌アートウォーク』

札幌アートウオーク作者: 谷口雅春,露口啓二出版社/メーカー: 北海道新聞社発売日: 2010/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る 水系へ 「札幌が水の町である」ということの淵源は、遥か太古の時代まで遡ることができる。 地質…

『Socialisme』 ジャン=リュック・ゴダール

ずばり「社会主義」という意のジャン=リュック・ゴダールの新作『Socialisme』(英題:Socialism)の情報が入ってこないが、どうなっているのでしょう。 下の予告編がリリースされたときは、もうすぐ到着かと思われたましたが。 『Socialisme』予告編 情報…

『ベオグラード1999』@アップリンク

新右翼・一水会 初のドキュメンタリー 『ベオグラード1999』上映会&トーク 2010年4月27日(火) に、新右翼・一水会を撮った初めてのドキュメンタリー 『ベオグラード1999』の上映会&トークがあります。 場所は、渋谷のアップリンク・ファクトリー…

『アメリカ 戦争する国の人びと』

ポレポレ東中野で上映中の『アメリカ 戦争する国の人びと』のトークショーに行ってきました。 反戦映画『キャタピラー』でベルリン映画祭を席巻した若松孝二監督と、藤本幸久監督、影山あさ子氏らのトークに、ポレポレのFさんが絡む形で話は展開。 若松監督…

アフンルパル通信 九号

書肆吉成の「アフンルパル通信」の最新号が発売された。 http://cart03.lolipop.jp/LA09260557/?mode=ITEM2&p_id=PR00101909257 一際、目に付くのが小特集で「アイヌと沖縄」を取りあげていることだろう。 アイヌ人の音楽家・小川基さんのエッセイは、アイヌ…

『ねむれ巴里』 金子光晴 ②

『ねむれ巴里』では、金子は東南アジアから巴里へむかう道程で、数人の中国人の男女に出会う。 その後、日本人は中国人を虐殺し、侵略戦争を遂行したのだが、それに対する金子光晴の抵抗は何であったのか。 この自伝には、ベッドに眠っている譚嬢の肛門をさ…

『ねむれ巴里』 金子光晴 ①

『ねむれ巴里』再読 金子光晴の自伝小説『ねむれ巴里』では、マレー半島で金の工面をして、船でフランスへ向かいパリに二年間滞在する1929年以降のことが扱われている。 金子光晴は、散文において平仮名を多用する文体を使っている。普通ならば漢字を使うと…

猫目映画 片岡翔

「猫目映画」というユニットで映画制作活動をしている片岡翔が気になっている。 それというのもVIPOが主催した「京都映像映画企画市」で、彼の短編映画を見てすっかりファンになったからである。 若手の才能と出会ったときは、あたかも自分が発掘したか…

300人を殺したギュスターヴ ③

生け捕り 地元の人々によると、多くの人がギュスターヴを殺そうとして失敗してきた。 動物保護団体はギュスターヴを保護すべきだと主張している。ファエ氏も同じ意見だ。 「ギュスターヴを殺すなんて言語道断です。捕獲して科学的な研究の対象にすべき現象で…

映芸シネマテーク

急ですが「映芸シネマテークvol.6」上映後のトークに出ます。 南京事件に関する映画の、珍しい映像もちらっと見せる予定です。 3月2日(火)上映作品『南京・引き裂かれた記憶』 http://eigageijutsu.com/article/141392383.html 【作品情報】 制作:松岡環…

即興ライヴの模様

2010年1月29日〜31日に「奈良前衛映画祭in東京」が行われました。 『ぬばたまの宇宙の闇に』(拙作・受賞作)と『狂った一頁』(衣笠貞之助監督)が3日間、広尾のTOKIO Out of Placeにて上映されました。 また、『ベオグラード1999』の上映と、詩人・吉増剛…

『生の泉』 中村剛彦

詩集 生の泉作者: 中村剛彦出版社/メーカー: ミッドナイトプレス発売日: 2010/02/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (2件) を見る 『壜の中の炎』(03年)の詩人・中村剛彦の第二詩集『生の泉』が刊行された。 中村はフランス文…

『青鈍色の川』 森泉笙子

青鈍色の川作者: 森泉笙子出版社/メーカー: 深夜叢書社発売日: 2009/11メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (1件) を見る「青鈍」(あおにび)とは伝統的な染物の色で、「鈍色に藍を淡く重ねた、青みの暗い灰色」のことを言うそうだ。 古来よ…

書評②

書評がWEB掲載されたので、ご紹介いたします。 『露口啓二写真集/Blinks of Blots and Blanks/ICANOF2009』 http://www.hi-net.ne.jp/icanof/html/publication/index.html#review 露口氏の写真は「水」や「アイヌ語の地名」などを手がかりに、北海道の…

書評①

書評がWEB掲載されたので、ご紹介いたします。 コロノス芸術叢書 1 『アートポリティクス』 http://www.hi-net.ne.jp/icanof/html/project/index.html 執筆陣は新川貴詩、野田秀樹、鴻英良、豊島重之、大橋宏ほか。 演劇、写真、パフォーマンスなどの芸術…

『別冊文藝 開高健』

開高健---生誕80年記念総特集 (文藝別冊) (KAWADE夢ムック 文藝別冊)出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/01/20メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 28回この商品を含むブログ (7件) を見る 発売中の『別冊文藝 開高健』(河出書房新社)の「開高健…

300人を殺したギュスターヴ ②

生き残り 村には連続殺人鬼の攻撃を受けて、生き残った1人の理髪師がいる。ハツンギマナ・アウディファクス(Hatungimana Audifax)さんだ。 彼の名前Hatungimanaは、キルンジ語で「神が安全に守りたまう」という意味である。アウディファクスはブジュンブ…

京都映画映像企画市

13日、14日は京都で映画市に参加することになりました。 パワーポイントを持っていないので、プレゼン資料は編集映像で作りました。 その間に仕事もあって、なかなか忙しい。 京都で「映画市」 若手作家の企画を発掘 映像産業振興機構(VIPO、迫本淳一理…

ベストテン&ワーストテン

「映画芸術」の2009年ベストテン&ワーストテン号が出ました。 当ブログの管理人も参加していますので、どうぞのぞいてみて下さい。下記でも買えます。 http://www.fujisan.co.jp/Product/187 映画芸術 2010年 02月号 [雑誌]出版社/メーカー: 編集プロダクシ…